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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

日銀が9月に金融政策見直し、マイナス金利拡大は困難に

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第74回】 2016年8月18日
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マイナス金利は貸し出しを増やしたのでしょうか

 日本銀行は、9月に金融政策の見直しをするとしている。

 そこでの分析は、マイナス金利の評価が中心になるだろう。マイナス金利導入の目的は、貸し出しを増加させることだとされていた。その効果はあったのだろうか? また、見直し表明は、将来金利の予想にいかなる影響を与えたか?

 以下では、これらの問題について検討する。

マイナス金利は貸し出しを増やしたか?
法人向け設備資金貸出はほぼ横ばい

 マイナス金利導入によって、貸し出しは増えているだろうか?

 まず、法人向け設備資金貸出の動向を見よう。

 図表1に示す国内銀行の法人向け設備資金貸出金残高の対前年同月からの増加額を見ると、この1年間程度はほとんど横ばいであり、マイナス金利の影響は認められない。

 実際、2016年4~6月期のGDP速報においても、民間企業設備は、実質マイナス0.4%(1~3月期はマイナス0.7%)と、落ち込んでいる。

 では、住宅についてはどうか?

 4~6月期のGDP速報では、GDPの対前期比が0.0%(年率0.2%)と停滞している中で、民間住宅は、実質5.0%(1~3月期はマイナス0.1%)と高い伸びを示した。これは、マイナス金利で住宅ローンが増えたためだろうか?

 これについては、この連載の前回「住宅建設の増加はマイナス金利の影響か?」で論じた。そこで述べたように、新設住宅着工戸数の伸びが著しいのは事実だが、それがマイナス金利によるものとは必ずしも言えない。

◆図表1:国内銀行の法人向け設備資金貸出金残高(対前年同月からの増加額)

(資料)日本銀行

 図表2では、国内銀行の個人向け設備資金貸出金残高の対前年同月からの増加額を示す。これで見ると、16年2月をボトムとして、その後増加している。

 これはマイナス金利の影響と考えられなくもない。ただし、これは、相続税強化の影響や省エネ住宅ポイントの着工期限を前にした駆け込み需要、17年4月に予定されていた消費税増税前の駆け込みの影響である可能性もある。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

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