生産性を劇的に高めるロボット導入に挑戦
最新テクノロジーを活用した荷役作業の省人化にも挑戦する。現在、米国のロボット開発ベンチャーと連携し、AIを搭載した「荷積みロボット」を佐川急便の中継センターに導入すべく実証実験を行っている。大型トラックへの荷物の積み込みは、荷物の大きさや重さ、その中身などさまざまな条件を瞬時に判断しなければならないため、ベテラン作業者を中心に人手に頼っているのが現状であり、ドライバーの拘束時間が長くなる一因ともなっている。「すでに米国では実用化されていますが、当社が求める品質まで高めることができるかどうかが導入の鍵です。ハードルは高いですが、実現すればドライバーの労務負担軽減など劇的な効果が見込めます」と期待を寄せる。将来的には、中継センターなどの大型拠点に導入することで、積み込み作業の大幅な省人化を見込む。
また、同社が導入を進めているスワップボディーコンテナ車と荷積みロボットを組み合わせることで、効果は倍加する。スワップボディーコンテナ車とは、車体と荷台を分離することができる車両で、輸送業務と荷役作業を切り離すことにより、荷待ち時間の短縮などを可能にする。さらに積み込み作業をロボットに切り替えることができれば、より少ない人員でのオペレーションが実現することになる。
パートナー企業と共に物流インフラを維持
宅配便インフラを維持するためにはラストワンマイル領域での対策も不可欠だが、特に集配業務の効率化で効果を発揮しているのが「スマート集配アプリ」だ。データを入力するとエリア内での集配ルートが自動作成され、ベテランドライバーと遜色ない生産性が実現できるため、新人など経験の浅いドライバーの業務支援ツールとして好評だ。また、災害発生時などに慣れない場所へ配達応援に行く際にもアプリがあれば問題なく業務を行うことができる。「ドライバーのなり手が少なくなる中で、多様な人材が働くことができる支援ツールの開発は今後さらに重要になってくる」と強調する。
さらに、宅配便の再配達削減についても、コンビニ受け取りや宅配ロッカー、指定場所配送サービスの拡大などにより、受け取り方法の多様化に取り組んでいくという。
「佐川急便の輸送ネットワーク、宅配便インフラは当社単独では到底成り立たず、数多くのパートナー企業さまに支えていただいています。今後もパートナー企業の皆さまから選んでいただける存在であり続けるためにも、一つ一つの課題に真摯に向き合い、将来にわたって安定的な輸送インフラを共に築き上げていきます」と決意を見せる。