JTが発売する新たな加熱式たばこ用デバイス「Ploom AURA(プルーム・オーラ)」。日本市場投入の中心を担ったのは、同社たばこ事業本部RRP商品企画統括部長の山口顕氏である。
山口氏は2023年まで、スイス・ジュネーブにあるJTI(JTインターナショナル。たばこ事業の本社機能を担うグループ会社)に駐在し、プロダクトポートフォリオとデザインの担当者として商品企画を手掛けていた。
「新商品Ploom AURAの特長は、よりコンパクトで使いやすく、それでいてたばこ葉本来のうまみをしっかり味わうことができるというもの。構想自体は19年ごろからありましたが、当時の技術水準では実現不可能でした。そこで技術の進歩を待ちながら、味の向上とデバイスの小型化という、相反する要素を両立させる取り組みを地道に続けていたのです」
開発のターニングポイントは、国内と海外の開発機能を融合し、グローバルモデルの商品を開発する体制を整えたこと。日本のR&D(研究開発)が得意とする繊細な味作りと、JTIのグローバル感覚に基づくプロダクトデザイン力を融合したのだ。
ユーザーの嗜好に応える
味とデザイン
新商品で特筆すべきは、「スマートヒートフロー」と呼ばれる独自の加熱技術である。緻密に設計された加熱温度のコントロールにより、吸い始めから吸い終わりまで味わいの一貫性を向上する仕組みだ。さらに4つの加熱モードで吸いごたえや使用時間の調整が可能な「ヒートセレクトシステム」を搭載、ユーザーごとの嗜好に応える設計になっている。
デザイン面でも斬新な試みがなされた。曲線を多用した有機的なフォルムは、従来機種の設計思想を踏襲しながらも、よりミニマムで洗練された印象を与える。メカっぽさを排除した手になじむコンパクトなボディーは、人間工学に基づいて設計され、4色のカラーバリエーションに加えて着脱可能なフロントパネルやバックカバーも用意されている。

「発売に先立って行ったブラインドテスト(喫煙者487人を対象)では、Ploom AURAは、おいしさの点で、競合製品と比較して高評価を得ました」と話す山口氏。Ploom AURAの開発でこだわった「味の良さ」に大きな手応えを感じている。
Ploom単体で
国内2位のボジション獲得を
今日本の加熱式たばこ市場は、全体の約40%まで拡大しており、継続した成長が見込まれている。JTは加熱式たばこでは「Ploom」「with」の2ブランドを持ち、25年3月以降、RRP(喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品)全体では2位(*)のシェアに到達している。今後の目標は“Ploom 単体”で国内2位のポジションを獲得することだ。
JTでは25年から27年にかけてRRPに6500億円の投資を予定し、加熱式たばこスティック(HTS)セグメントへの投資を優先的に継続、その大部分がPloom AURAの発売に向けた投資となる。
*25年5月末時点
「最も厳しいといわれる日本のたばこ市場で勝ち抜くことが、Ploomをグローバルで通用するブランドへ押し上げる礎になると考えています。課題は、商品が認知されること。一度でもPloom AURAを体験してもらえれば、その価値は必ず伝わるはずです」と山口氏は、商品力に自信を見せる。
新商品は既にCLUB JTオンラインショップや全国のPloomショップで先行発売が始まっており、7月1日からは順次全国のコンビニエンスストアや一部たばこ販売店などでの発売がスタート。発売に当たり、割引クーポンの提供や無料トライアルも含めて、多面的な全国規模のキャンペーンを実施する予定だ。
Ploom AURAは単なる新商品ではなく、技術・デザイン・マーケティングを統合したJTの成長戦略の中核を担う存在だ。厳しい競争が続く国内外の加熱式たばこ市場で、Ploom AURAがどこまでその存在感を高められるか、今後の展開に注目したい。
5月27日、虎ノ門ヒルズステーションタワーのTOKYO NODE HALLでJTグループのRRP事業戦略・新商品発表会(プレスカンファレンス)が行われた。

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