ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
人手不足の時代に本気で考える アルバイト人材育成
【第10回】 2016年10月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
中原淳 [東京大学 大学総合教育研究センター 准教授]

世界トップ級の「社内人材育成システム」は何を教えているか?
【潜入!! ハンバーガー大学】若手エース店長に聞いてみた(最終回)

1
nextpage

いま、アルバイトの人手不足が深刻化している。そんななか、人材開発理論の専門家である中原淳氏(東京大学 准教授)と、インテリジェンスHITO総合研究所(テンプグループ)代表の渋谷和久氏が、アルバイト雇用に関する大規模な調査プロジェクトを立ち上げた。その成果をベースにした書籍『アルバイト・パート[採用・育成]入門』(ダイヤモンド社)も11月に刊行予定だという。

今回の座談会をお願いしたのは、「ハンバーガー大学」など独自の社内制度を早くから立ち上げ、店長やアルバイトの育成に力を入れてきた日本マクドナルドのみなさん。売上上位店である立川伊勢丹前店の齋藤周平店長と六本木ヒルズ店の西村裕美店長、そして同人事本部の日比谷勉氏にお集まりいただき、同社の驚くべき「人手不足対策」についてお話を伺った。いよいよハンバーガー大学の内部にまで迫る注目の最終回(撮影/宇佐見利明 構成/前田浩弥)。

日本マクドナルド本社内「ハンバーガー大学」にて。入口をくぐるとドナルドの姿がある

今だから話せる
「店長」としてやらかした失敗談

齋藤周平(さいとう・しゅうへい)
マクドナルド立川伊勢丹前店店長。1989年生まれ。東京都出身。大学卒業後、2011年 日本マクドナルド株式会社へ入社。2015年 店長へ昇格。自らロールモデルとなり、人材育成に力を入れている。マクドナルド働くことで「成長」を実感しているクルーが多く、そのポジティブな雰囲気が定着に繋がっている

【中原淳(以下、中原)】前回の記事では、「マクドナルドの店長には『先生』としての資質も求められる」というお話がありました。そんなお2人ですが、店長として今までにやってしまった失敗談はありますか?

【齋藤周平(以下、齋藤)】私は「クレーム対応」で失敗したことがありますね。

以前、行き違いやちょっとした間の悪さも重なって、大きなクレームがお店に入ったことがありました。そのときに私は、最終責任者なのにもかかわらず、まずその場で収めようとして「言い訳」を考えてしまったんですね。そのせいで相手の方に熱が伝わらず、より一層こじれてしまいました。

その後、トラブルが起こったことを本社に伝えて、いろいろフィードバックをいただきました。もう一度決心し直して、ネクタイを締め直してもう一度相手の方のご自宅に伺い、解決しました。責任者として、絶対に言い訳をせず、誠実に対応することの大切さを学びました。

西村裕美(にしむら・ひろみ)
マクドナルド六本木ヒルズ店店長。1988年生まれ。兵庫県出身。大学卒業後、2011年4月 日本マクドナルド株式会社へ入社。2012年店長へ昇格。2016年より現職。クルーの提案や意見を取り入れて、「敬意ある職場」を実現することを心掛けている

【西村裕美(以下、西村)】私の場合は、チームのモチベーションに関わることですね。

店長に昇進したばかりのとき、「やってやるぞ」「成果を上げるぞ」とかなりガツガツしていたんですが、1人で突っ走ってしまっていて、なかなかスタッフを巻き込めていないことにちゃんと気づけていなかったんです。
その結果、あるときスタッフの1人から「お店の売上が上がっても、うれしいのは店長だけでしょ?」って言われてしまったんです。

それがすごくショックで……。だからいまでは、何か成果を出すんだというときに、クルーには「どんなメリットがあるのか」を伝えたり、得られるものを一緒に感じてもらったりするように意識しています。

【中原】お2人とも、苦い経験があるからこそ、「先生」としての今があるんですね。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
まいにち小鍋

まいにち小鍋

小田真規子 著

定価(税込):本体1,100円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
簡単で安くて、ヘルシー。ポッカポカの湯気で、すぐにホッコリ幸せ。おひとりさまから共働きのご夫婦までとっても便利な、毎日食べても全然飽きない1〜2人前の小鍋レシピ集!「定番鍋」にひと手間かけた「激うま鍋」。元気回復やダイエットに効く「薬膳鍋」や、晩酌を楽しみたい方に嬉しい「おつまみ鍋」など盛り沢山!

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


中原淳(なかはら・じゅん) [東京大学 大学総合教育研究センター 准教授]

東京大学大学院 学際情報学府(兼任)。東京大学教養学部 学際情報科学科(兼任)。大阪大学博士(人間科学)。
1975年北海道旭川生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員等を経て、2006年より現職。
「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発、リーダーシップ開発について研究している。専門は経営学習論(Management Learning)。
著書に、『会社の中はジレンマだらけ』(光文社新書)、『アクティブトランジション』(三省堂)、『職場学習論』『経営学習論』(以上、東京大学出版会)、『企業内人材育成入門』『研修開発入門』『ダイアローグ 対話する組織』(以上、ダイヤモンド社)など多数。


人手不足の時代に本気で考える アルバイト人材育成

各業界で「アルバイト・パートの人手不足」が深刻化している。いまこそ企業は「使い捨て人材」としてのイメージを捨て、真剣に「バイトの主力化」に取り組まなければならない――。こうした問題意識の下、東京大学・中原淳准教授とテンプグループは、小売・飲食・運輸業界大手7社8ブランドの2.5万人を対象に、国内初の「アルバイト・パート雇用」に関わる大規模調査を実施。これからの「バイト人材育成」に欠かせないポイントはどこにあるのか?

「人手不足の時代に本気で考える アルバイト人材育成」

⇒バックナンバー一覧