シリコンバレー、戦略コンサル他、世界の最前線で、超一流は何をしているのか?
答えは「Bullet Points(ブレットポイント)」と呼ばれる“箇条書き”によるコミュニケーション。箇条書きは、英語や会計、そしてロジカルシンキングと同じくらい世界的に求められているスキルなのだ。
メール、プレゼン、企画書・報告書、議事録。あらゆるシーンで活用されている。最新刊『超・箇条書き』の著者、杉野氏にその詳細を語ってもらう。
「おっ、こいつはできる」と
思われる箇条書きとは?
前回の記事では「MECE崩し」について触れた。今回はその続きだ。
※前回の記事 「お前の話は、長くてくどい」―ロジカルバカに多い“残念な伝え方”とはー
「MECE崩し」によって、営業マンの箇条書きは、「短く、魅力的な箇条書き」になった。具体的には、上司に報告する活動方針の、次のような箇条書きだった。
【改善前】
<目標とする営業成績は売上3億円である>
<このために、4つの改善策をとる>
・大口の顧客には、先輩社員に協力してもらって価格交渉し、販売単価を上げる
・中堅の顧客には、関連商品も併せて提案し、販売数を伸ばす
・小口の顧客には、今までどおりにコンタクトをとり、販売を推進する
・超小口の顧客にも、今までどおりにコンタクトをとり、販売を推進する
↓
【改善後】
<目標とする営業成績は売上3億円である>
<このために、2つの改善策に集中する>
・大口の顧客には、先輩社員に協力してもらって価格交渉し、販売単価を上げる
・中堅の顧客には、関連商品も併せて提案し、販売数を伸ばす
この改善後の箇条書きを、上司により刺さる形に変えていこう。
ポイントは、固有名詞を使うこと。固有名詞は、短い言葉にもかかわらず、相手の関心を引くフックとなり、より多くの意味を伝えることができる。
抽象的な一般名詞と違い、固有名詞で表されるものについての情報は、すでに相手の頭の中に具体的なものとして蓄積されている。結果、相手は多くを伝えられなくても、関連する情報をすぐに引き出すことができる。
先ほどの箇条書きにおいて、固有名詞に変えられるものはないか考えてみよう。
1つ目は、「大口の顧客」や「中堅の顧客」だ。顧客の数が限られているときは、顧客名を固有名詞で伝えることが考えられる。
そうすれば上司は、「あそこの企業に行くなら、俺が昔の知り合いに口を利いてやれるかも」などと、頭の中から関連する情報を引き出し、イメージが湧くかもしれない。上司とは面倒なものではあるが、より多くの情報をもっているものでもあるからだ。結果、この営業マンはより具体的なアドバイスをもらえるだろう。
顧客の数が多過ぎて、固有名詞で語りきれない場合でも、まだ2つある。「先輩社員」と「関連商品」という一般名詞の2つだ。固有名詞に置き換えたほうが、相手はドキッとし、関心をもってくれ、真剣に理解しようとしてくれるだろう。さっそく書き換えてみよう。