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日本を元気にする新・経営学教室

終身雇用制度の功罪点検を通じて
日本企業変革への道を探る
慶應義塾大学ビジネススクール教授 高木晴夫

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],加登 豊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],髙木晴夫
【第3回】 2011年2月14日
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 今回から経営学教室の新しい執筆人として加わることになった。この連載では、一貫する一つのテーマを中心にすえて、議論を展開したいと思っている。そのテーマとは、日本の大企業で保たれている「終身雇用制度」、もう少し正確には「長期雇用制度」であり、その功罪について考えてみたい。今回はそのイントロダクションである。

 振り返ってみれば、日本で終身雇用制度がいつごろからスタートしたかというと、昭和の初期であり、実は80年ほどの歴史しかない。日本の大企業は、大学新卒の一括採用によって、コアメンバーを形成するというやり方をとってきた。したがって、定年までのおおよその勤続年数を35~40年とすれば、世代的にはまだ二回りしかしていないともいえる。

 ただ、二回り、80年という時の流れは相当な長さであり、企業のコアメンバーの考え方、価値観、生き方を、ある範囲のなかに囲い込んでしまったともいえる。

日本の大企業が
いま直面している現実

 終身雇用をベースとする大企業の組織の仕組み自体は、基本的にはこの数十年間変わっていない。終身雇用制度を続ける理由はいろいろあるが、今日において経営陣がこの制度を続けると意思決定したわけではないので、終身雇用はもはや経営の与件になっているということである。したがって、今後も終身雇用を急にやめるということはありえない。

 一方、日本企業は、現在あるいはこれから進行する、国内外の経営環境の変化を見たときに、競争力の点でどこまでやっていけるのか、という問題を抱えている。国内環境は少子高齢化、情報化が進み、新卒者も極めて安定志向が強い。そして国内経済活動は停滞しており、国内依存度の高い企業は、経営を活性化することが難しい。そうなると、こうした企業にとって、オプションは二つしかない。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

加登 豊(かと ゆたか) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1953年生れ。78年3月神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了、86年4月大阪府立大学経済学部助教授、94年1月神戸大学経営学部教授、99年4月神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年4月~10年3月経営学研究科長・経営学部長。『インサイト管理会計』『インサイト原価計算』『ケースブック コストマネジメント』『管理会計入門』など著書多数。

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。


日本を元気にする新・経営学教室

好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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