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三流の維新 一流の江戸
【第6回】 2016年12月21日
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原田 伊織

「官賊」薩長も知らなかった
「江戸システム」の正体

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ベストセラー『明治維新という過ち』著者の原田伊織氏は、これまで「明治維新とは民族としての過ちではなかったか」と問いかけてきた。
江戸という時代は、明治近代政権によって「全否定」された。
私たちは学校の教科書で、「明治の文明開化により日本の近代化が始まった」と教えられてきたが、はたして本当にそうなのか?
そして、今回さらに踏み込み、「2020年東京オリンピック以降のグランドデザインは江戸にある」と断言する。
『三流の維新 一流の江戸』が話題沸騰の著者に、「官賊」薩長も知らなかった驚きの江戸の正体を語ってもらおう。

「元和偃武」とは何か

原田伊織(Iori Harada)
作家。クリエイティブ・プロデューサー。JADMA(日本通信販売協会)設立に参加したマーケティングの専門家でもある。株式会社Jプロジェクト代表取締役。1946(昭和21)年、京都生まれ。近江・浅井領内佐和山城下で幼少期を過ごし、彦根藩藩校弘道館の流れをくむ高校を経て大阪外国語大学卒。主な著書に『明治維新という過ち〈改訂増補版〉』『官賊と幕臣たち』『原田伊織の晴耕雨読な日々』『夏が逝く瞬間〈新装版〉』(以上、毎日ワンズ)、『大西郷という虚像』(悟空出版)など

 例えば、江戸期ほど長く平和を維持した事例は、世界史に存在しない。
 それは、偶々(たまたま)そうなったのではなく、「元和偃武(げんなえんぶ)」という時代のコンセプトを設定したからである。

 では、「元和偃武」とはどういうことであったのか。

 また、「参勤交代」が諸藩の経済力を弱め、幕府統治の維持を可能にしたというが、その行列が華美にならないようにしきりに触れを出したのは幕府である。
 では、参勤とは諸藩にとってどういう役割を果たしたのか。
 同時に、「鎖国」が政権を永らく維持させたというが、幕府は果たして国を鎖(とざ)していたのか。

 「江戸四口(よんくち)」といわれる対外窓口はなぜ存在し、どういう機能を果たしていたのか。

 その他、江戸期の流通を支えた五街道の整備、海運の主役北前船(きたまえぶね)、通信網の役割をも果たした宿駅制等々、江戸期の社会システムは私たちが教えられたことと違って、驚くべき独自性をもち、世界史的にみても高度なものであった。

 学術面に於いても、決して浮世絵と歌舞伎だけが江戸ではない。
 近年、義務教育で円周率を3とする「ゆとり教育」が問題になったが、円周率を3でもいいなどといったら、砲術指導のメッカであった韮山(にらやま)代官所江川塾の塾生は腰を抜かしていたであろう。

 当時の和算のレベルは、世界最高水準にあったことが分かっている。
 それは、ゆとり世代のみならず、並みの平成人の及ぶところではないのだ。

 そもそも識字(しきじ)率が、世界水準を遥かに凌駕(りょうが)していた。
 江戸期の識字率が75パーセントであったのに対して、世界に冠たる侵略国大英帝国のそれは20~25パーセント程度であったと推定されている。

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「三流の維新 一流の江戸」

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