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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

「日本=貿易立国」論への疑問~なぜ、安く売って高く買うのか?――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田創,森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]
【第11回】 2011年2月16日
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日本の輸出依存度は上から58番目
本当は貿易だけで食べて行けない?

 日本は貿易立国だと信じられている。本当に、日本は貿易だけで食べて行けているのだろうか。

 こうした話をすると、「輸出主導の景気回復」とか、「日本の活路はグローバル化」と言うではないかと反論する人はいるだろう。筆者もそれは否定しない。製造業は、好調な中国経済の恩恵を受けられるように輸出に力を入れて、収益確保を果たすことが望ましい。

 一方、輸出だけで日本経済全体が経済成長を果たせるかというと、それは輸出を過大評価し過ぎている。

 なぜならば、日本の輸出依存度は、他国に比べてそれほどウエイトが大きくなく、牽引役としての限界があるからだ。国内総生産に占める輸出の割合(名目値)がどのくらいかを各国別に調べてみよう。

 筆者が集めた70ヵ国のデータで比較すると、日本の輸出依存度の順位は58番目と低い(図表1参照)。実は、米国は日本よりも輸出依存度が低くて67番目。日本は、輸出依存度が高くなく、かつ米国のように内需拡大で景気を牽引していける国とも違う。日本は、外需をテコにして内需を拡大させるしか、本格的回復に道筋がないところが悩ましい。

「日本=貿易立国」は過大評価か?
輸出は値引きをして、輸入は値上げされる

 日本が貿易立国であるという過大評価ができた理由には、GDPを実質値で見る習慣にも原因がある。貿易収支について、GDP統計の中身を確認してみると、純輸出(財・サービス収支の黒字)はリーマンショックで落ち込むまでは大きく増加していた(図表2参照)。

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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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