現在、4億5700万人がネットを利用しているといわれる中国(2010年末時点、「中国インターネット情報センター(CNNIC)」発表)。加速度的に利用者が増加するなかで、急拡大しているのが電子商取引(EC)ビジネスだ。CNNICによると、11年の中国EC市場規模は5690億元(約8兆7000億円) に達するとも言われており、日本でも知名度を上げているショッピングモールサイト「淘宝網(タオバオ)」進出を考えている日本企業も少なくないだろう。
しかし、中国進出には専門知識やマーケット調査が必要なばかりでなく、申請などのハードルも非常に高い。今回取り上げるセールス・インチャイナは、そんな日本企業の中国ECビジネス進出を全面的に支援する企業の1つだ。同社は昨年10月に設立されたばかりだが、浅野潤社長はこれまでにも多くの企業の中国ECビジネス進出を支援すると同時に、日本企業の中国進出における「失敗と撤退」を見てきた経験を持つ。
今後、日本企業が過去の失敗を繰り返さず、巨大EC市場で商機を逃さないためにはどう行動すべきなのか。中国・上海でフロンティア開拓に挑む浅野社長に中国ECビジネスの魅力と成功する中国進出の条件について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)
この10年で中国EC市場は急速に発展
信頼厚い日本製品の大きなチャンス!
――現在、中国ECビジネスは巨大な市場として注目を集めていますが、ほんの10年前の中国はネット環境さえ十分に整っていなかったそうですね。
私は2001年に「自分で何か事業をやりたい」と思い、それまで勤めていた会社を辞めて上海に渡ったのですが、当時はECどころか、ネット回線さえも十分に発達していませんでした。ところが、05年頃からは外資系企業の進出で経済発展が進み、急速にネット環境も発展しはじめました。
またその頃、日本では楽天やヤフーなどのECサイトが花盛りでしたから、中国でもそれを真似た形で“ECサイトの先駆け”が登場しました。そうしたなかで、最も勢いをつけ始めたのが今や中国で一番有名なショッピングモールサイトの「タオバオ」です。それほどお金を持っているわけではないけれど、安くて新しい物に敏感な18~25歳の世代を中心に人気が爆発していましたね。