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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

日銀が始める新たな資金供給オペの課題
金融は「量」だけでなく「質」にも注意
――森田京平・バークレイズ・キャピタル証券 チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第19回】 2011年4月20日
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日銀は足元の景気判断を引き下げ

 今月6-7日、日銀は金融政策決定会合を終えた。日銀は足元の景気について「震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力の強い状態にある」とし、前回3月の「改善テンポの鈍化した状態から脱しつつある」から判断を引き下げた。

 すなわち「震災後、生産設備の毀損、サプライチェーンにおける障害、電力供給の制約などから、一部の生産活動が大きく低下しており、輸出や国内民間需要にも相応の影響が及んでいる」(下線筆者)とした。

 あえて「一部の」と書いているところから、少なくとも現時点で日銀は、震災が幅広い業種を巻き込むマクロ型の景気後退を誘発するとは見ていないようだ。

 一般に、一部の業種をサポートする政策は経済主体間での所得再分配を伴う。そのため、金融政策(日銀)ではなく財政政策(政府)で対応すべき課題とされる。こうした考え方が今月の決定会合の背景にあったとすれば、日銀が追加緩和に動かなかったことも理解できる。

 物価については「消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、下落幅が縮小を続けている」という判断を据え置いた。

 震災後の金融については「金融機能は維持されており、資金決済の円滑も確保されている」。金融市場も「全体として安定している」。ただし、「震災後、中小企業を中心に、一部企業の資金繰りに厳しさが窺われる」との判断を加えた。

 この判断が、次に触れる「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション」の必要性の背景にある。

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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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