メディアに翻弄されずに
当事者たちを支援していくために

 Kickstarterのような新しいファンドレイジングのモデルは続々と立ち上がっているが、これらのモデルに共通するのは、中間の取りまとめ団体を排除することで、寄付の効率を上げ、かつ費用対効果の高いプロジェクトを「自動的」に選別していこう、という発想だ。

 緊急支援が一段落つき、ライフラインが復旧を遂げると、活動の主体は現地の当事者にシフトしていく。残念ながら、現在の日本の寄付市場において肝心の復興支援において有効な寄付モデルはない。国内の寄付市場はメディアの報道に依存するが、その報道が一段落する時期にはすでに支援への熱意は薄れてしまう。未だ各国からの支援が寄せられているにも関わらず、資金の供給は日本赤十字社などの一部の組織に偏ってしまっている。

 日本にも、Kickstarterのような当事者と資金提供者をダイレクトにつなぐタイプのウェブサイトが登場しているが、このような発想は、ライフラインが復旧し、復興への動きが本格化する中でどのような役割を果たしていくのだろうか。被災した人々――困難を乗り越えていく当事者たち――が課題に向きあう余裕が生まれたとき、我々は何ができるのだろうか。そして、世界からの莫大な援助を用いて我々は何を試み、その成果をどうやって世界に還元していくのだろうか。

 最終回となる次回では、クラウド型ファンドレイジングというモデルに、太陽光発電から携帯衛生キットに至るテクノロジーを組み合わせた支援活動を行うNPO、コペルニクの活動に焦点を当てる。途上国の現場から生まれたこの発想は、日本に何をもたらすのか。