手取り収入を押し下げている大きな要因は、完全リタイアした後に加入する国民健康保険と介護保険の保険料負担である。ケースA-1とA-2の65歳以降の額面年収は2倍程度であるのに対し、税金と社会保険料負担は、23万円から70万円と約3倍に増えている。

 2000万円を「一時金」と「10年確定年金」に半分ずつにするとどうかと思い試算してみたのがケースA-3。手取り収入は、「全額年金受け取り」よりも多くなったが、それでも「全額一時金受け取り」にはかなわないという結果になった。

 介護保険が導入された2000年から毎年「年金生活者の手取り収入試算」を定点観測で行っている。なので、高齢者の社会保険料負担が年々増えていることを実感している。今回の試算をする前に、うっすらと「全額年金受け取りは不利になるだろう。組み合わせが一番有利かも」と考えていたが、私の予想は外れた。

年金受け取り期間を長くしても
税金と社会保険料の負担は重い

 ここで試算をやめてもよかったのだが、年金の受け取り期間を長くして1年あたりの年金額を少なくすると、2%の運用の効果を得られるかもしれないと思い、「15年確定年金」で再試算してみた。まずは、結果から。

 試算Bは、「全額一時金」、「全額15年確定年金」、「一時金と15年確定年金を半々」の3パターンについて、定年後の15年間の額面収入と手取り収入を比較したものだ。

 結果は、「10年間比較」の試算Aと変わらないものとなった。受取期間を長くして退職年金を「薄く」もらうことにより、税金と社会保険料の負担を抑えられるかと考えたが、無理だった。「一時金受け取り」が手取り収入1位となった。内訳は、次の通り。

 いくつかのパターンを試算した結果、預金金利よりもはるかに高い2%の運用率であったとしても、年金受け取りすることで増える税金と社会保険料の負担は、運用益ではカバーできないということがわかった。