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ビンラディン殺害作戦で精度の高さを証明
顔認識技術の今後の使い道と変わらぬ障壁

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第144回】 2011年5月12日
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 パキスタンのアボタバードで、「世界最大の敵」と呼ばれ続けてきたウサマ・ビンラディン容疑者と対峙した米海軍特殊部隊は、発砲する際、できるだけ顔面を避けたと報じられている。

 ここアメリカでの報道によれば、3発の銃弾は、左目と頭、腹部に当たり、ビンラディン容疑者は死亡。ヘリコプターで潜伏場所に到着してから40分後には、部隊は使命を終えて現場から飛び去っている。顔面を避けたのは、DNAテストと並行して、フェイシャル・レコグニション(顔認識)技術によって、本人かどうかを確かめる必要があったからだそうだ。

 顔認識技術は、1960年代から開発が進められてきたものだ。顔の輪郭、目鼻や口のかたち、その相対的な位置関係によって、95%の確率で本人かどうかを確認できる、言わば「顔の指紋」のようなものである。

 実際にこの技術が使いものになる水準に進化したのは90年代後半になってからのことだ。今では、顔の立体的情報を取得する3次元技術もあれば、顔のしわやシミを特定して認識率を上げる技法や、ほぼリアルタイムで顔認識できる超高速処理技術もある。

 ビンラディン殺害の一部始終は、特殊部隊のヘルメットに取り付けられたカメラで撮影され、その映像はリアルタイムでホワイトハウスに送られていたそうだ。この時の映像、あるいは後にビンラディン容疑者が海に葬られるまでの間に撮影された顔写真が、アメリカのデータベースにある彼の写真と比べられ、本人と確認されたわけだ。

 だが、じつは昨年9月に、ビンラディン容疑者はすでにこの技術によって捉えられていた。各紙報道によれば、衛星写真が邸宅の外で体を伸ばすビンラディン容疑者の姿を収めていたというのだ。

 最近の衛星写真では顔面のニキビまでキャプチャーすることが可能で、一方、顔認識技術の方は、皮膚テクスチャ(組織)まで比べられるほどに進んでいるという。もはや、どんなに逃げ隠れしても、遠方からあなたの姿は捉えられているというわけだ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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