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元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術
【第3回】 2017年4月18日
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吉田利宏

「高学歴でも使えない人」に足りない
リーガルマインドとは?

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「高学歴なのに仕事ができない人」――アナタの周りにもいませんか?もしかしてアナタ自身もそのような烙印を押されていませんか?こういう人に共通するのは、試験用の知識を覚えているだけで、正しく使えていないことです。じつは法律の勉強でも同じです。法律の勉強の本質は条文を覚えることではありません。リーガルマインドというセンスを身に着けることです。このリーガルマインドを身に着けると、法律以外でもアナタを「できる人」にしてくれます。人生を豊かにしてくれるリーガルマインドとは?

せっかく知識を得ても
正しく使えない理由とは?

 「高学歴なんだけれど、どうもねぇ…」。職場でそんな声をよく耳にします。学歴も、それにふさわしい知識もある、でも、それに応じた仕事ができない。みんなは彼(彼女)のことを「もったいないよね」と残念がります。

 でも考えてみると、もったいないのは知識を活かしていないことではなく、「仕事に役立つ形で知識を得てこなかったこと」なのかもしれません。同じ知識を得ていても(同じ学歴があっても)、知識を得る過程で、その知識を生かす感覚(センス)を身に付けられたかどうかで、その後の知識の活かし方が変わってきます。

 リーガルマインドという言葉をよく耳にするようになりました。まだ、理解されていない部分があるのですが、法律を学ぶ意味は、知識を学ぶことではなく、このリーガルマインドというセンスを手に入れることにあります。ただ、リーガルマインドを手に入れる学び方をするために、最低限の法律知識を手に入れなければならない部分があります。しかし、その知識さえあれば、「感じること」と「考えること」ができるようになるはずです。その第一歩はシグナルを拾うことから始めます。

 たとえば、こんなことを考えてみてください。営業マンが得意先の社長を訪ねて雑談をしています

営業マン「社長、お酒は召し上がりますか?」
社長「嫌いな方ではないな」

 このとき、「嫌いな方ではない」という二重否定の表現を理解できなければ話は先に進みません。「好きである」ということと同じ意味であり、しかも、好きということを直接的にいうのではなく、少し遠回しにいう表現であることを理解する必要があります。

 「『嫌いな方ではない』というのは「好きだ」ということに近い意味だ」。知識という面ではそれで十分なのですが、センスという意味ではそれでは不十分です。社長がストレートに「好きだ」と言わなかったことに何かを感じるべきなのです。そこにシグナルがあります。

 優秀な営業マンなら、社長との間にまだ距離があることをこの言葉の中に見つけることでしょう。もっといえば、「どうして、お酒のことを持ち出したのだろう」という社長の戸惑いと、ほんの少しのお酒にまつわる期待を嗅ぎ取らなければなりません。

 すかさず、「駅前に、ちょっとうまい肴を出す小料理ができたんですよ。今度、ご一緒していただけませんか?」。一気に懐に飛び込む作戦なら、そう言うかもしれません。あるいは「うちの故郷にうまい地酒があるんですよ、今度、お持ちします」。そう言って、まずは距離を縮めるのもいいかもしれません。いずれにしても、できる営業マンなら、会話をこのままで終わらせたりしないはずです。

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    吉田利宏(よしだ としひろ)

    元衆議院法制局参事
    1963年神戸市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、衆議院法制局入局。以後15年にわたり法律案や修正案の作成に参画。現在、著述、講演活動を展開。早稲田大学エクステンションセンター講師、自治体研修講師・各種審議会委員。
    主な著書に、『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術』(ダイヤモンド社)、『つかむ・つかえる行政法』(法律文化社)、『法令読解心得帖』、『法実務からみた行政法 エッセイで解説する国法・自治体法』(いずれも共著・日本評論社)、『新・法令用語の常識』(日本評論社)など多数。


    元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術

    「法律の勉強は難しい」と感じるのは、正しい学習法を知らないことに尽きます。「法律を覚えよう」とした時点で間違った道へ突入していたのです。
    法律を通じて、得るべきものは知識ではありません。正義と公平のセンス(感覚)なのです。「リーガルマインド」と呼ばれるものがそれです。
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    「元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術」

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