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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

朽ちゆく住宅資産への警鐘
~低下に転じている持家率の背景
――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第26回】 2011年6月15日
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サラリーマンの永年の夢・マイホーム
持ち家率は2009年にピークアウト

 サラリーマンの永年の夢が「マイホームの取得」だったとすると、持ち家率の上昇はその実現度を表す指標と言えよう。しかし、その豊かさ指標は、3年前から低下方向に転じている。

 ピークの持ち家率は、2008年春の82.0%であり、それが2009年にはピークアウトして、2011年は78%台になろうとしている(図表1参照)。なぜ、持ち家率は低下してしまっているのだろうか。

 自然に考えると、持ち家率は上昇するだけの数字に思える。一度取得した住宅は、誰も手放すことがなければ、持ち家の普及率は上昇するだけである。その数字が下がるということは、きっと背後に大きな変化が生じているのだろう。

 そこで、背景を調べるために、年代別にセグメント分析をしてみた。すると、意外なことに、30歳代以下の世帯主年齢では、住宅取得が若い時期から進んでいることがわかった(図表2参照)。

 これは、住宅ローン金利の低下や、若い人でも購入できる低価格マンションが多く供給されるようになったことがある。一方、持ち家率を引き下げているのは、40~54歳までの年齢層である。

 では、どうして中高年層は、最近になって持ち家を取得しなくなっているのであろうか。この点は、推察しかないが、若い時期に住宅取得のタイミングを逸すると、中高年になってからは昔よりも住宅取得がしにくくなったことがあろう。

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島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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