95%の企業がAI投資を利益に転換できないワケ。「東大松尾研発AI」が物語る、“利益につながるAI導入”の極意

「生成AIに巨額の投資をしたのに、利益が生まれていない」ーー約95%もの企業がそう回答している※。東大松尾研発のAI企業、ELYZAの執行役員である菊池国行氏に、個人利用の限界を突破し、「利益を生み出すためのAI活用の要諦」を聞いた。

◆この記事でわかること
・AI投資を利益拡大につなげている企業の共通点
・東大松尾研発の“国産AIプロダクト”が日本企業にフィットする理由
・組織にAIを根付かせ、成果を最大化する「三つの要諦」

生成AIへの投資が利益に転換できない“納得の理由”

企業がこぞって巨額の資金を生成AIの導入に投資しているが、その投資を実際の利益に転換できている企業は、米国ですら全体の5%程度に過ぎないという※。
※MIT Media Lab の Project NANDA が発表したレポート「The GenAI Divide – State of AI in Business 2025」

日本でも、導入と活用が一巡した今、多くの企業が「利益につながっていない」と気付き始めてきたことだろう。

東京大学松尾・岩澤研究室(松尾研)からスピンアウトしたAI企業であり、国内LLM(大規模言語モデル)開発の先駆けであるELYZA(イライザ)の執行役員で、プロダクト事業部ゼネラルマネジャーを務める菊池国行氏は、その理由について、こう指摘する。

「大きな理由の一つは、AI活用が全社員へのアカウント配布にとどまってしまっている点にあります。これでは、『個人利用』が中心となってしまい、個人が作業を数分間短縮できたとしても、その浮いた時間が別の業務に再投資されなければ、会社としては利益につながりません」

さらに、世の中に普及し切ってしまった「チャット形式」そのものにも、構造的な課題があるという。

「汎用的なチャット型の生成AIでは、プロンプト(生成AIに入力する指示文)によってアウトプットがばらついてしまいます。ただ、企業の業務は本来、ある程度形式が決まったものであるはずです。だからこそ、業務に組み込むAIは、入力段階からしっかりと型が決まっているシステムであるべきなのです」(菊池氏)

確かに、入力段階から使う人による差異が出てしまうのでは出力にも差が生まれてしまい、組織としての業務品質を一定に保ち、利益に直結するような成果を生み出すことは困難だ。

では、AI投資を利益に転換するには、具体的に組織としてどう使えばいいのか? また、ELYZAが開発したAIプロダクトは、いかにしてこの汎用的な生成AIの課題を打破しているのか?

次のページでは、菊池氏に聞いた、“本当に利益につながるAI”の設計と使い方、またAIを利益拡大につなげている企業の共通点に迫る。