この際、東京メトロは同6時7分頃から約10分間運転を見合わせ、北陸新幹線も6時8分頃から11分間、金沢駅と上越妙高駅間で運転を見合わせた。

 これは全く間の抜けた話だ。北朝鮮から発射された弾道ミサイルは7、8分、長くても10分以内に日本に達するから、発射後30分以上も過ぎて電車を停めても意味がない。まるで踏切を列車が通過した後に遮断機を下したような恰好だ。午前6時頃のテレビの速報を見て決めたようだが、発射から報道までに早くて数分、さらに停車の指示にも数分掛かるから、弾道ミサイル対策に列車の運転停止が役に立つことは無さそうだ。

 この経験から東京メトロとJR西日本では今後は政府の「Jアラート」(全国瞬時警報システム)による緊急情報により運転見合わせを決める、とした。だが4月29日にはJアラートは「ミサイル発射」の情報を流していなかった。

機能した過去2回は
北朝鮮の事前通告があった

 これまでJアラートが「ミサイル発射情報」を発したのは僅か2回、2012年12月12日と2016年2月7日、「テポドン2」による人工衛星打ち上げの際だけだ。

 この場合には北朝鮮が発射の計画をロンドンの国際海事機関に通告し、発射の日時(幅がある)や場所、第1段、第2段ロケットの落下予定海面も分かっていた。

 このため日本はイージス艦を出動させ、長距離レーダー、情報収集衛星などで必死に監視していた。米軍、韓国軍も厳重な見張りを行っていた。2012年12月には発射の6分後にJアラートがミサイル発射を伝え、2016年2月には発射の4分後にJアラートが作動した。

 だが、昨2016年8月3日午前7時53分頃、「ノドン」と思われる弾道ミサイル2発が発射され、1発は空中爆発、1発は秋田県男鹿半島沖約250キロの排他的経済水域内に落ちた際には、防衛省がそれを発表したのは発射から1時間15分後の9時8分で、防衛省はどこに落下したかもすぐに把握できていなかった。人工衛星打ち上げの場合と違い、防衛省は発射を知った時間などの詳細を公表しなかった。「手の内を知られるから」と言うが実は不手際を知られたくなかったのだろう。