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言論NPO工藤泰志「議論の力」

完全に壊れてしまったこの国の政治
いまこそ政治は国民に「信」を問え

工藤泰志 [言論NPO代表]
【第3回】 2011年6月21日
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 この一連の政治の騒動を見ていて、どうしても理解できない素朴な疑問がある。なぜこの国の政治は、国民に「信」を問おうとしないのか、ということである。

 発生後3ヵ月たっても被災地は瓦礫の山。避難所の劣悪な環境から抜け出せないまま、11万人余の被災者は未だに生存の危機に直面している。原発震災の処理は遅れ、汚染地域から避難した住民は、今後の人生すら描けない。

 被災者の一人ひとりの命を救うためには、非常事態を宣言し、政府一体で取り組む局面だったが、この3ヵ月間、政権は迅速で有効な対策の方向すら示せないでいる。そればかりか、首相の不信任を巡って党内分裂を招き、政治家同士の騙し合いは、「嘘をついた、つかない」の話となり、政治の亀裂の修復はもはや不可能となった。

 それでもなお、菅政権の退陣を巡って、政権にしがみつく政治家と降ろしたい政治家が、毎日のように党内外で駆け引きを繰り返している。この非常時に政治が機能しない、いやこの国の政治が壊れている。こんな政治を目前にして、こんな政治家たち、全員いらない、と思っている人も多いだろう。

 私の疑問は、この状況に至っても、私たちは、この国の政治をただ見ていることしかできないのか、ということだ。

戦時下の英国でも、関東大震災後でも
総選挙は行われた

 こんな時に選挙なんてとんでもない、という意見があるのは事実である。だが、よく考えてみると、その根拠はいささか脆弱である。

 1945年に英国では総選挙が行われ、戦争を指揮したチャーチルが退陣に追い込まれている。ヒトラーが自殺をした直後だから、戦局はほぼ決していたが、まだ戦争中である。

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工藤泰志 [言論NPO代表]

1958年生まれ。横浜市立大学大学院経済学修士課程卒業。東洋経済新報社で、『金融ビジネス』編集長、『論争東洋経済』編集長を歴任。2001年10月、特定非営利活動法人言論NPOを立ち上げ、代表に就任。その後、選挙時のマニフェスト評価や政権の実績評価、東アジアでの民間対話など、様々な形で議論を行っている。また、2012年3月には、米国の外交問題評議会(CFR)が設立した世界23カ国のシンクタンク会議「カウンシル・オブ・カウンシルズ(CoC)」の日本代表に選出。

 


言論NPO工藤泰志「議論の力」

言論NPOは、今年で設立から12年。日本の主要課題に対して建設的な議論や対案を提案できる新しい言論の舞台をつくろうと活動を始めた。同代表の工藤泰志が、数多くの有識者たちとの議論を通じて感じ取った日本の課題に切り込み、議論の力で強い民主主義実現をめざす。

「言論NPO工藤泰志「議論の力」」

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