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なぜ人はリスクに対して“賭け”に出てしまうのか
震災で明らかになった危機管理の罠

川原慎也 [船井総合研究所 東京経営支援本部]
【第73回】 2011年6月27日
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利益には“堅実”
リスクには”ギャンブル発想”

【質問①】
選択肢A:「無条件で50万円が貰える」
選択肢B:「『当たり』を引いた場合には100万円が貰えるが、『はずれ』を引いた場合には何も貰えない」

 さて、あなたなら選択肢AとBのどちらを選びますか?

 では、次の質問です。

【質問②】
選択肢A:「無条件で50万円を支払う」
選択肢B:「『当たり』を引いた場合には支払いが生じないが、『はずれ』を引いた場合には100万円を支払う」

 この場合、選択肢AとBのどちらを選ぶでしょうか?

 職業柄、講演依頼も多いのですが、「リスクマネジメント」のテーマで話をするときに、よく上記の質問をします。正確に統計をとったわけではありませんが、【質問①】のケースでは、大体80%位が選択肢Aを選び、【質問②】のケースでは、70%程度が選択肢Bを選ぶ、というのがこれまでの傾向です。

【質問①】で「利益を獲得する」際には堅実に利益を得られる選択肢を選ぶ人が、【質問②】の「損失の生じる」選択ではギャンブルに打って出るという非常に興味深い結果なのですが、これは“プロスペクト理論”と呼ばれ、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって、すでに1979年に展開されている理論です。

 この【質問②】のケースであればAを選んだという方も、次の質問に対してはどうでしょうか?

【質問③】
選択肢A:「会社で問題発生。対処に10億円のコストがかかるが、それ以上の損失を防止できる」
選択肢B:「会社で問題発生。外部に漏れなければ大きなコストはかからないが、漏れた場合は100億円程度の損失になる可能性(ただし、漏れる可能性は5%)」

 過去に起きた企業不祥事として、「自動車メーカーのリコール隠し」、「菓子メーカーの期限切れ原材料使用」等の事例は記憶に新しいところです。どの事例にしても、迅速な判断に基づく正しい対応ができていれば、会社の存続すら危ぶまれるほどの損失にはならなかったと思いますが、現実には大事件へと発展してしまいました。

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川原慎也 [船井総合研究所 東京経営支援本部]


1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業種業態を問わずに戦略実行コンサルティングを展開するという同社では異色の経験を持つ。「視点を変えて、行動を変える」をコンセプトに、戦略策定段階では「お客さまとの約束は何か」→「約束を果たすためにやるべき仕事は何か」を考え抜こう、計画策定段階では「計画が頓挫する可能性の対処策」を考え抜こう、実行段階では「勝たなきゃ組織一体化しない」から“勝ち”を積み重ねる階段を考え抜こう、と経験に裏打ちされた“視点”への刺激が散りばめられ、組織を動かす原動力へと変えていく。
最新著に『絶対に断れない営業提案』(中経出版)がある。

【関連サイト】『経営参謀の視点』※毎週月曜日更新 

 


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不透明な経済状況が続き、半年先の景気を読むことさえ難しい日本経済。この連載では、様々な業界やテーマで活躍する船井総研の専門コンサルタントが、業界別に分析し、半年先の景況感を予測していきます。

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