マッキンゼー・アンド・カンパニーなど要求水準の高いビジネスの現場を渡り歩き、「可能な限り優れたパフォーマンスを実現するためにはどうすべきか?」と試行錯誤してきた著者が提案する、ビジネスパーソンのためのまったく新しい学習法『新・独学術』。佐藤優氏が「ビジネスパーソンにとって本当に役に立つ最良の書」と絶賛するなど話題の同書より一部を特別公開する。

MBAやコンサルタントの実態とは?

MBAホルダーは本当に「エリート」なのか?

 私は三菱商事に約7年間勤めた後、シカゴ大学でMBA(経営学修士)を取得し、その後コンサルタントとしてマッキンゼーに勤務していました。現在は外資系投資会社で働くかたわら、京都大学博士課程で金融論の研究をしています。

「海外MBA」や「コンサルタント」と聞くと、地頭がよくて、苦労なくエリートコースを邁進してきた人、というイメージを持たれる人もいるかもしれません。

 私も商社に勤務していたころは、MBAやコンサルタントについて漠然とそんなイメージを持っていました。事実、2000年ごろまでに海外のMBAコースに留学した日本人の多くは、一流企業の優秀な幹部候補でした。マッキンゼーやボストンコンサルティンググループなどの戦略系コンサルティング会社においては、大前研一氏や堀紘一氏のような、世界に通用する知性を持ったカリスマコンサルタントたちが活躍していました。

 しかし、いまや時代は大きく変わり、MBAホルダーもコンサルタントも特殊で珍しいものではなくなりました。さすがに米国のトップ大学院に入学することは簡単ではありませんが、MBA自体は米国では「Driver’s Licence(運転免許証)」といわれるほど一般的なものになりました。

 米国にかぎらず欧州・アジアの大学院でMBAを取る人も増え、日本でも国立・私立のさまざまなMBAコースができています。コンサルティング会社も、戦略系だけでなくIT系や医療系など業界に細分化された会社が出てくるなど多様化しています。

 マッキンゼーにしても、OB・OG(社内では「卒業生」と表現します)が増え、秘密につつまれた尖った集団としてのイメージはもはや過去のものです。在籍しているコンサルタントも、天才的な頭脳の持ち主ばかりというわけではありません(もちろん、そういうコンサルタントもいましたが)。

 もっとも、天才ではないにしても、MBAホルダーやマッキンゼーの卒業生のうち、少なからぬ人数がビジネス界で活躍していることも事実です。マッキンゼー日本支社の社員数は200人ちょっとぐらいなので、卒業生の数の比率を考えると驚くべき水準です。DeNAを立ち上げた南場智子氏や、右肩下がりだったミクシィを再生させた朝倉祐介氏などは、(天才的ではありますが)そんなマッキンゼーの卒業生のいい例です。