30代に向けて同時期に本を出版したことがきっかけでスタートした、資産形成のプロである朝倉智也さんと、家計診断のプロである深田晶恵さんによる対談企画。問題の核心をズバリと指摘し、わかりやすい解決策を示してくださるおふたりのお話には、毎回多くの方々から反響をいただきました。
いよいよ最終回となる今回は、おふたりがお互いの本をどう読んだか、そして30代の読者に向けた具体的なお金のアドバイスについて語っていただきます。

第1回「20代~50代、世代別にみる『残念なお金の習慣』」から読む
第2回「
うまい話にだまされるな! 金融商品との正しい付き合い方」から読む
第3回「
親や先輩のアドバイスは聞くな! 30代のお金の「新常識」とは?」から読む

 

――前回は、いまの30代はお金の「新常識」を身につけることが必要だというお話を伺いました。「親やバブル世代の先輩のアドバイスはあてにならない」「国や会社が老後の面倒を見てくれる時代はもう終わった」などと聞くと、「私たちはこれからどうすればいいのか」と不安を覚える人もいると思います。具体的な対処法について、もう少し詳しく教えてください。

「時間を味方につけられる20~30代は
外国株式に6割、外国債券に3割、金(ゴールド)に1割」(朝倉)

「減らさない」「貯める」&「殖やす」で<br />30代のお金の不安は解消できる!朝倉 智也(あさくら・ともや)
モーニングスター株式会社 代表取締役COO。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号取得 (MBA)。その後ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資産運用全般、子会社の設立および上場準備を担当。1998年、モーニングスター株式会社設 立に参画し、米国モーニングスターでの勤務を経て、2004年より現職。第三者の投信評価機関として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投 資家の的確な資産形成に努める。 著書に『投資信託選びでいちばん知りたいこと』、『投資信託選びでもっと知りたいこと』(ともに武田ランダムハウスジャパン)がある。
twitter:http://twitter.com/tomoyaasakura

朝倉 『30代からはじめる投資信託選びでいちばん知りたいこと』では、余裕資金を海外資産で運用することを勧めています。リタイア後に向けて、今の30代が20~30年程度の長期投資を行うことを前提として、「6割を外国株式に、3割を外国債券に振り向け、リスクヘッジのための資産として金(ゴールド)を1割保有する」「株式と債券は、半分を新興国に投資する」というポートフォリオを提案しているんです。

 これは、老後資金のベースとして公的年金があること、その年金が主に国内の株式や債券で運用されていること、預貯金や保険も多くが国内資産によって運用されていることなどをふまえています。

深田 実は、私はこれまで新興国への投資に対して懐疑的でした。値動きが大きく短期的にはリスクが大きいこと、個別の商品を見ると手数料が高いものが非常に多いことなどが理由です。この点、朝倉さんの本では、十分な運用期間がとれる20~30代にのみ新興国への投資を勧めていらっしゃるのは非常に説得力があると感じました。

 新興国に投資するものなら何でもよいわけではなくダメな商品もあること、投資すべきでない商品の見分け方なども具体例を挙げて解説してあって、「ここまで書かれるのは勇気があるな」、と(笑)。これまでにない、ある意味で“とんがった本”だと思いますが、読み物としてもおもしろいですし、いまの30代には内容に共感する方も多そうですね。