米国側は不信感を抱いていたが
首脳会談は協調姿勢をアピール
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は6月28日から訪米、29日にトランプ大統領主催の晩さん会に出席した後、30日には首脳会談を行った。
文大統領は訪米前、北朝鮮に対する融和的な姿勢を次々と打ち出しており、文正仁(ムン・ジョンイン)特別補佐官の米国における発言も、米国で強い警戒感を抱かせた。さらに地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備問題でも、米国の強い反発を招いていた。
しかし、こうした対立を少なくとも公には見せず、北朝鮮問題に対処するため、協調姿勢を見せようとしたのが今回の首脳会談であった。
そもそも韓国内には、この時期の大統領の訪米について「時期尚早ではないか」との懸念があった。にもかかわらず、文大統領が訪米を急いだのは、北朝鮮に対する韓国の立場を理解してもらい、協調姿勢を打ち出すためであった。しかし、北朝鮮に対する姿勢には根本的な違いがあり、今後、対立が表面化するのは時間の問題ではないかと懸念される。
文大統領は6月1日、北朝鮮問題について、「韓国が主導権を握り、対話を通じて北朝鮮の核問題を解決していく」と述べた。こうした発言は、米韓首脳会談を前に、韓国主導で北朝鮮の核問題に関する「対話の突破口」を開こうとの意思表明だったのであろう。