安倍政権が唱える「人づくり革命」の目玉政策の1つ、出世払い型の教育国債による大学の無償化は、過去の政策の失敗を繰り返す可能性がある。どこが問題なのだろうか。 Photo:首相官邸HP

秋の目玉政策は“人づくり革命”
「教育国債」で失敗を繰り返すか?

 内閣改造で担当大臣を任命したことからも明らかなように、安倍政権の秋の経済政策の目玉は“人づくり革命”です。

 そこで目指す政策の方向性が8月13日の日本経済新聞で報道されています。「記事枯れ」の日曜の1面トップで政策が報道される場合、政府内部からの情報リークに基づくものであることが多いので、記事の内容はおそらく正確ですが、概要は以下のように報道されています。

・安倍首相は教育無償化の実現を掲げており、人づくり革命の具体策を検討する「人生100年時代構想会議」では、こども保険による幼児教育の無償化と、出世払いでの教育国債による大学の無償化を検討する。

・出世払いでの教育国債については、オーストラリアのHECS(高等教育拠出金制度)を参考に制度設計する方針。この制度は、国債を原資に大学の成績優秀者の授業料を優先的に免除し、その学生は卒業後に所得が一定水準を超えた年に一部を国に返済するもの。

 この記事を読んで感じたのは、出世払いでの教育国債という構想でまた過去の政策の失敗を繰り返すのかということです。

 過去の失敗とは、海外で成功した政策をパクって導入するけれど、その政策が成功した国と日本との社会風土や習慣の違いを無視して政策だけを真似した結果、日本ではうまく機能しないことです。典型例としては、金融庁が英国の制度を真似て導入した非常に使いにくいNISA(少額投資非課税制度)が挙げられます。

 それでは、出世払いの教育国債という構想について具体的に何が問題かというと、オーストラリアと日本では大学をめぐる状況がかなり異なっているということです。