為替介入は、税金でFXを行うこと。
円高を是正する有効な方法はあるのか

 百歩譲って、円高の是正が必要だとしよう。次の問題は円高を是正する有効な方法があるのかどうかということだ。円高是正論者の大半は、「円高はデフレと対になっており、日銀がさらに金融緩和をすればいい」と考えているようだが、8月30日の当コラムで示したように、日銀はこの15年間欧州や米国の中央銀行に比べ一貫してバランスシートを過大に膨らませてきた。そして、これだけ緩和してもデフレ・円高を抑えることは出来なかったのである。日銀がさらに金融を緩和すれば円高やデフレが終息すると主張したいのであれば、どのような回路・プロセスでもって終息できるのかという根拠を具体的に示すべきであろう(寡聞にして、説得力あるそうした主張は聞いたことがない)。

 また、円高是正論者は、為替介入をも望んでいるようだ。先月(8月4日)行われた為替介入は史上最大規模であったと伝えられているが、それでも4.5兆円程度に過ぎなかった。世界の為替市場では1日平均4~5兆ドルの取引が行われているのである。わずか1~2%の介入で果たして効果があるのだろうか。投機筋の小鬼を叩いたり、政治的なパフォーマンスを示したりする効果はあるかも知れないが(そして、そういった効果を決して否定するものではないが)、円高を反転させる効果まであるとは、とうてい思えない。

 何よりも、為替介入と言えば、何か高度な経済政策のように聞こえるが、その実態は、税金でFXを行うことでしかない。FXはゼロサムゲームであり、投機そのものである。このような財政状況のもとで、貴重な税金をFXに投じて果たしていいものだろうか。政府・財務省は為替介入を行うのであれば、その「費用対効果」の分析結果を国会や市民に対してきちんと説明して然るべきであろう。

 ちなみに、G7では日本を除いて為替介入を行っている国はどこにもない。なお、9月9日に閉幕したG7の合意事項では、為替について「市場で決定される為替レートを支持。為替の過度の変動や無秩序な動きに関して緊密に協議し、適切に協力」と、一般論でまとめられたことは周知の通りである。