「1時間座るごとに22分あなたの余命が縮む」といった衝撃的な研究結果など、「座りすぎ」による健康悪化が世界中で話題となっています。日本でもネットの記事や、NHKの「クローズアップ現代」「あさイチ」、日本テレビ系列の「世界一受けたい授業」などで特集され関心を集めました。ご覧になり驚きと危機感を持った方もいるでしょう。
座ることは想像以上に健康に悪いことがわかってきました。正確に言うと「座る」ことではなく、「座り続ける」ことが、糖尿病、高血圧、心血管の病、脳梗塞、そしてガンまで招いていることが世界中の研究で判明したのです。しかも、「座り続ける」とは30分程度の着席です。日常の「テレビをソファに座って観ていた」、「ちょっとデスクワークをしていた」といった程度で、あなたの健康リスクは高まっていたのです。
いま、世界中で「座りすぎ」の研究はブームとなり競って行われていますが、この座りすぎ研究の日本における第一人者で冒頭のテレビ番組でも解説者を務めた岡浩一朗・早稲田大学スポーツ科学学術院教授の処女作『長生きしたければ座りすぎをやめなさい』から、世界中の研究で判明した座りすぎが病や死を招くメカニズムなど紹介します。

座りすぎがあなたを殺す!
世界中のメディアが大騒ぎした理由

「Sitting is Killing You」

 直訳すれば「座ることがあなたを殺す!」です。「大げさな」「まさか」と思われたかたもいるでしょう。

 しかし、ニューヨークタイムズやワシントンポスト、ウォールストリートジャーナルといった世界中で読まれているメディアでも取り上げられ、現代人特有の命を縮める要因として、今、世界的な関心が高まっている健康問題が「座りすぎ」です。
 
 後で詳しく紹介しますが、「タバコやアルコールよりも座りすぎは健康に悪い」と指摘する専門家もいるくらいです。

 ごく最近も、CNNで米コロンビア大学医学部の研究チームによる最新の研究データが報じられ、「座って過ごす時間が長すぎると、年齢や性別や運動習慣のあるなしにかかわらず、死亡リスクが格段に高まる」という衝撃情報が駆け巡りました。

 日本のメディアもこの問題を摂り上げるようになりました。NHKの「クローズアップ現代」や「あさイチ」などで特集が組まれた他、8月5日に放映された日本テレビ系列「世界一受けたい授業」の「今、日本が危ない! 私たちに迫る15の危機SP」では、日本人の座りすぎが“危機レベル第1位”として紹介され、大きな波紋を投げかけたばかりです。

 番組を見て座りすぎの危険性に驚いた人、「このままでは危ない!」と危機感を覚えた人も少なくないでしょう。

 このように、国内外のメディアがこぞって座りすぎの問題に注目するのは、その健康リスクがかなり深刻だからにほかなりません。職場でも家庭でも、座っている時間が長い人ほど重篤な病にかかりやすく、「早死しやすい」ことが数々の調査データから証明され、世界中の識者が一斉に警鐘を鳴らしているのです。

 何か特別なことをしたから「座りすぎ」になるわけではありません。デスクワーク、会議、テレビ、スマホ、食事、電車や車での移動、運転、授業や講義の受講……そんなごくごく日常の座っている時間の中に、重たい病を呼び込む要因や、死因が潜んでいるから怖いのです。