「あの人はまったく疲れていないのに、私はどうしてすごく疲れているのだろう」
そんな経験をしたことはないだろうか。それには、実は理由がある。疲れていないあの人は「疲れない行動」をしていて、疲れている人は「疲れる行動」をしていたのだ!
では、どんな行動が疲れを生み、どんな行動なら疲れないですむのか?
たとえば、少しでも疲れないようにと1日中、椅子に張り付いているるとしたら、いますぐやめたほうがいい。
その理由を、日本で唯一の疲労医学の教授・梶本修身氏が、最新科学にもとづく「疲れない習慣」についてまとめた話題の新刊『なぜあなたの疲れはとれないのか?』から、一部抜粋して紹介する。

よく動く人のほうが、実は疲れない?

「疲れないために、室内ではどのように過ごすのがいいのか」

 オフィスを例に考えてみましょう。

 職場を見渡すと、さまざまなスタイルで働いている人がいますが、その違いの一つが机に座っている時間に表れるのではないでしょうか。

(Aさん)朝、出社したかと思うと、そのままランチまで座り続けて仕事をして、ランチが終わって戻ってきたら、また終業まで座りっぱなしで働いている

(Bさん)朝、出社したら、たばこを吸いに行ったり、他の人のところに行ったり、トイレに行ったりと、わりとちょくちょく動き回っている

 1日の働いている時間は同じでも、座って仕事をしている時間は、人によって結構違うものです。

 部下を評価する上司の視点は置いておいて、「疲れ」という視点からすると、どちらのほうが疲れやすいのか、これは明確に答えが出ています。

 ずっと座っているのは楽そうに見えますし、立ったり座ったりを繰り返すほうが運動量が多く、疲れると思うかもしれません。

 でも、疲れにくいのは、立ったり座ったりが多い人なのです。

 実際は、長時間座ったままでいるのは、疲れだけではなく、命にもかかわる危険な行為といえます。