いよいよ、秋のインターンが開催される時期になった。外資も日系も、このインターンへの参加が「内定への近道」になるという噂があちこちで囁かれている。応募する際に注意すべきことは何なのか。キャリアデザインスクール我究館 館長、書籍『絶対内定』シリーズ著者の熊谷智宏氏に聞いてみた。

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親が名前も知らない企業に、有名大の学生が殺到している

「サイバーエージェント、メルカリ、ヤフー、ミクシィ、アイスタイル、クックパッド、Google」

これらの企業名を見て、すべてサービス内容を説明できるだろうか。

上記に挙げた企業は学生にとって、「超」がつく人気企業である。

選考倍率は100倍を超えるところも珍しくない。

業績も好調で、事業拡大も継続的に行われている。すでに上場し、日系大手企業と肩を並べる規模になっているものもある、いわゆる「優良企業」だ。

これらの企業を入社先に選んだ我究館生から話を聞くと、応募する学生の学歴も非常に高く、有名大学がずらっと並ぶ。また、ベンチャーを志望するだけあって挑戦心が非常に強い学生が集まる。話題のサービスの最前線でビジネス経験を積むことができるなど、学生からすると魅力が多い。これらの企業に内定していることは、学生のあいだでは日系大手の超難関と言われる企業に内定するのと同じか、場合によってはそれ以上の意味を持つ。

日系大手よりも内定出しが早いベンチャー企業

これらのなかには、年内には本選考をスタートさせる企業もある。評価が高い学生は、年内にも内定をもらい就職活動を終了していく。ニュースなどでよく見かける「3月の情報解禁」と「6月の面接解禁」のスケジュールと比べ、だいぶ早い時期の選考活動となる。

就活生によっては、日系大手の選考を受けずに進路を決定するもの者もいる。この点にも不安を覚える親世代も少なくないようだ。就活生のお子さんを持つ読者の方は、年内には上記などを含めたベンチャー企業を「進路に決めた」と相談されることもあると思う。

その際は、ぜひ一度、その企業についてじっくり勉強してみてほしい。親世代には馴染みがない企業群だからといって、決して訝しがる必要はないのだ。

「ベンチャー以外に」のアドバイスから生まれる子どもとの溝

私がこんなことを言うのには理由がある。最近、「親」と「就活生」で「優良企業」の定義があまりに違うことを感じるからだ。我究館生からもこんな相談をよく受ける。

 

「重厚長大の企業に入ってほしいと言われる。親からの期待と、自分の希望の差にどうしてよいかわからなくなる」(早稲田大学 男子)

「ベンチャーに内定をもらい、入社の意向を親に報告したら、その企業のネガティブなニュースのリンクが大量に送られてきた」(慶應大学 女子)

「親たちが歴史のある大企業に進むと「安定」「安心」が手に入るというが、意味がよく分からない。これから40年も安定している企業なんてないと思うので、伸びているネット業界で働きたいのに、理解されない」(法政大学 女子)

 

「ベンチャー」=「危険」や「非大企業」=「不安定」という先入観が親の心配を生み、就活生の進路決定を妨げてしまうケースが散見される。

もちろん、日系大手がより安定して見える親御さんの気持ちはとてもよく理解できる。それゆえに、就活生と親のあいだでベンチャーへの就職に対しての考え方に溝が生まれるのも必然だろう。

しかし、この溝を埋めるために、親にもできることがある。

それは、親世代がその企業のサービスを勉強することだ。

我究館生を見ていると建設的な会話ができている家庭は、親が子供の志望している業界について勉強をした上でアドバイスをしている。「よく分からないけど、ベンチャーは危険だ」ではなく「その会社を調べたが、〇〇の点から将来性は……」と言われた方が子どもも話を聞きやすい。

可能なら、一度そのサービスを使ってみるのもいい。子どもにとって人生の一大事である内定というイベントを、業種のイメージだけ、ニュースや数字だけで判断しアドバイスをする親は意外と多い。

そして、調べてもらえれば、驚くほど将来性があったり、顧客に感謝されていたり、すでに「大企業」と言っても過言ではないほどの規模や業績を出していたりするのに気づくはずだ。

子どもといえどもう成人した大学生。それなりに調べ尽くした上で進路を決定しているはず。

説明会や書籍、OBOG訪問、インターンシップ、ネット上の情報など、社会を知る機会は親世代の就職活動の比にならないくらい集めることができる。その末に出した結論を、詳しく調べてない親に批判された時の子どもの落胆は大きい。真剣に進路の相談にのるのであれば、可能な限り情報収集をした上で向き合ってほしいと思うのだ。