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ジョブズが世界にもたらした「IT革命」の光と影
わがままで、傲慢で、凄まじい美意識は何を生んだか

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第197回】 2011年10月18日
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「IT革命」という社会的変革の恩恵を
専門知識のない素人に享受させた大功績

 10月5日、アップルを世界最大のITメーカーに押し上げた稀代の経営者であるスティーブ・ジョブズが逝った。同氏の波乱に満ちた人生は、今後書籍などで後世に残されるという。

 同氏の功績は、単にアップルという企業の枠に収めることはできない。彼がしたことは、もっとスケールが大きい。IT革命という社会的な変革の恩恵を、専門知識のない人まで及ぶようにしたことだ。

 つまり、iPodやiPhone、iPadなどの新製品によって、それらを使う人に途方もない便利さと心地よさを与えたのである。

 たとえば、ITに関して全くの素人である人たちが、iPhoneを使うことによって常に新しい情報に対するアクセスができるようになった。あるいは、機器を指先で簡単に操作するだけで、いつでもどこでもインターネットが見られるようになった。

 それらは、一昔前ではとても考えられないことだった。しかも、それをするために、特別に本を読んだり、誰かに特定の使い方を教えてもらう必要はない。ジョブズが考案した機器を、日常と同じ発想で、同じ動作で使うことができる。それは、とても素晴らしいことだ。

 そうしたことが、何故スティーブ・ジョブズにはできたのだろうか? 「彼が天才だったから」という言葉で片付けることには、違和感を持つ。

 おそらく、同氏は、欲しいものを追求する“わがまま”な性格を持ち、しかも、とても“傲慢”で、他の人たちの意見を容易に聞き入れず、突っ走ったからこそできたのかもしない。

 それともう1つ、彼自身が凄まじいまでの“美”に対する意識を持っていたことも、重要な要素だったのだろう。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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