作家であり、金融評論家、社会評論家と多彩な顔を持つ橘玲氏が自身の集大成ともいえる書籍『幸福の「資本」論』を発刊。よく語られるものの、実は非常にあいまいな概念だった「幸福な人生」について、“3つの資本”をキーとして定義づけ、「今の日本でいかに幸福に生きていくか?」を追求していく連載。今回は「日本人と老後と幸福度」について考える。

 リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットの『LIFE SHIFT(ライフ シフト) 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)が話題になったように、100歳まで生きるひとが珍しくなくなった社会では、従来とは異なる戦略が必要になるのは当然のことです。

 しかしだからといって、これまでの議論はなにひとつ変わりません。何歳になろうとも、人生の土台は金融資産、人的資本、社会資本の3つしかないからです。

日本人は何歳まで生きるか?

 標準的なファイナンス理論にもとづけば、老後の人生設計で大事なのは自分の平均余命を知ることです。日本人の平均寿命は男性80.79歳、女性87.05歳ですが、だからといってこの年齢までの計画を立てておけばいいわけではありません。

 平均寿命は、出産直後に死亡した乳幼児も含めたすべての日本人の寿命の平均です。50歳まで生き延びたということは、それ以前の死亡率は無視してかまわないわけですから、当然、平均寿命よりも長生きすることになります。これが平均余命で、50歳の男性は32.39歳、女性は38.13歳が平均的な人生の残り時間です。もちろん平均余命に達したらそれで終わりというわけではなく、男性は80歳、女性は85歳の「天寿」になっても、さらに8年以上の余命があります。

 それでは、私たちはいったい何歳までの計画を立てておけばいいのでしょうか。ここで、50歳以降の5年間の生存率を見てみましょう。