欧米人と比べて日本人はオーラルヘルスケアに対する意識が低く、切羽詰まってからでなければ歯科医の門を叩かない人が多いという。だが、そうなってからでは時すでに遅し、の場合も多い。

 そのうえ、口元のトラブルは健康面、さらには社会的な地位すら深刻な危機にさらしかねない。しかしながら、日頃のほんのちょっとした心掛け次第でマウスマネジメントは十分に実践可能だ。

 マウスマネジメントの先駆者であり、歯科医師の宝田恭子氏もそのケアぶりを絶賛するフリーアナウンサーの生島ヒロシ氏も、具体的に次のようにアドバイスする。

欧米人と日本人の
歯に対する意識は「真逆」

生島ヒロシ氏
フリーアナウンサー
1971年20歳で単身渡米。75年カリフォルニア州立大学ロングビーチ校ジャーナリズム科卒。76年TBS入社、89年独立。ヘルスケアアドバイザー、NPO日本食育インストラクター、FPなど多彩な資格を持ち、また東北福祉大学客員教授を務めるなど、マルチに活躍する。

 日本人は世界的に見ても長寿を誇っているし、健康に気を配る人も多い。ところが、オーラルヘルスケアへの関心はグローバルに比較して低いと言わざるをえない。日々食べ物に気をつかい、運動を心がけているような人でも、こと歯に関しては、意識を向けていないのだ。

 フィリップスがアンケート調査を行ったところ、「歯科医に『定期的な検診』目的で最低でも年に1回訪れる」ケースが7割以上を占める欧米人に対し、日本人は「虫歯などの症状が顕著になり必要に迫られて初めて、ようやく重い腰を上げる」人が約8割を占める、という対照的な結果が浮き彫りになった。最近、心筋梗塞などといった重い病と歯周病との因果関係が取り沙汰されるようになってきたにもかかわらずだ。

 この決定的な差の原因は、「虫歯がなければ歯は健康」「歯のケアは朝晩の歯ブラシだけで大丈夫」という、誤った認識がある。しかし実際に気づかうべき口元の問題は、口臭、歯周病、歯並びや汚れなどさまざまある。

「定期検診のため」に歯科医に訪れる、米英独に対して、「症状が出」てから歯科医に駆け込むのが日本、という対照的な結果が出ている。

 「口臭はもちろん、歯石や歯周病、虫歯の原因ともなるのが口の中のプラーク(歯垢)で、これを発生させないためには、食後はこまめに歯から食べカスを取り除くことが肝心」

 前回、オーラルケアの第一人者である宝田恭子歯科医師はこのようにアドバイスしてくれた。また、「マウスマネジメント4ヵ条」にて、自分自身で取り組む日頃のケアに加え、頃合いを見計らって歯科医に赴き、定期的に歯の検診を受けることも欠かせない、とも語ってくれた。

 さてその際、「私が存じ上げている限り、最もオーラルヘルスケアに気を配っている著名人」と宝田歯科医師が太鼓判を押して紹介してくれたのがフリーアナウンサーの生島ヒロシ氏である生島氏は若い頃からオーラルケアの重要性に気づき、非常に徹底した「マウスマネジメント」を実践している。

  「できれば1ヵ月に1回、多忙でそれが無理な場合もせめて2ヵ月に1回程度のペースで歯科医を訪ね、歯石除去やレーザー治療、ホワイトニングなどを行うように心がけています。もちろん、自分自身でも食後はきちんとFBIを実践していますね。先日、検査したら、僕の口の中は歯周病菌がゼロでしたよ」(生島氏)