焼き鳥チェーン「鳥貴族」が6.4%の値上げを実施した今年10月、来客数や既存店売上高は前年同期比で減少した Photo by Takahisa Suzuki

 全品280円(税抜)を28年以上維持してきた焼き鳥チェーン「鳥貴族」が、10月に298円へ値上げした。人件費や原材料費の上昇が理由だ。

 8月下旬の値上げ発表時に同社の株価は急騰したが、マスメディアに大きく取り上げられたことが、販売上はマイナス効果になってしまったようだ。10月は前年同期比で来客数が7%減、既存店の売上高は3.8%減となり、株価も下落を見せた。

 10月は週末の天候が悪かったこともあり、値上げの印象が薄らげば先行きある程度は客足が戻ってくるのではないかと推測される。とはいえ、日本の消費者は値上げに極めて敏感に反応することをこの事例はあらためて示した。

 一方で米国の場合、飲食店の値上げは日常茶飯事だ。米ニューヨークで2001年から今年にかけての16年間において、「マグノリア・ベーカリー」のマフィンは1.25ドルから3.00ドルへ140%上昇。「カッツ・デリカテッセン」のパストラミ・サンドは8.95ドルから19.95ドルへ123%上昇した。それでも両店は人気を維持している。28年以上も価格を据え置き、今回6.4%値上げしただけの鳥貴族が消費者に驚かれてしまう日本とは、状況が随分と異なる。

 ただし、米国でも今後は外食の値上げペースが鈍化する可能性がある。景気拡大局面の割に労働者の賃上げが遅い状況が続くと、レストランの値上げについていけない人が増えてくるからだ。