1998年から、銀行でも投資信託や、保険といった商品を販売できるようになりました。投資を始めよう、と思ったときに、銀行は身近にある金融機関なので、ついつい頼りがち。なんでもお任せしたくなりますが、それは絶対やってはいけないことなのです!
『「投資で失敗したくない」と思ったら、まず読む本』を発売(12月2日予定)する、独立系FPの深田晶恵さんの著書から、投資を始めるときに必ず知っておきたいことをご紹介します。
投資で失敗しないための、たった3つの鉄則
連載の第2回目で、投資で失敗しないための鉄則をご紹介しました。それは、
1 金融機関との付き合い方を知っておく
2 まとまったお金で投資をしない
3 手数料を意識する
この、たった3つのことができれば失敗は減らせると書きました。
今回はこの1番目の金融機関との付き合い方を知っておく、ということを詳しく説明したいと思います。
お給料や年金が振り込まれる、住宅ローンや公共料金が引き落とされるなど、銀行や、ゆうちょ銀行は私たちの生活と切っても切り離せない関係にあります。この先も上手に付き合っていくためには、銀行が抱える「事情」を知っておきましょう。
昔とは違う! 銀行や、ゆうちょ銀行が
リスク商品を積極的に販売する理由
銀行は以前にも増して積極的に投資信託や保険商品を販売していますが、それにはもちろん、理由があります。
銀行にはだまっていても多くの預金が集まってきますが、それを金庫に寝かせておくだけでは1円も増えないので、預金者に利息を払うために、企業や個人にお金を貸したり、国債を買ったり、と資金を運用する必要があります。
以前は個人や企業に融資をして利息を得るのが主でしたが、最近では状況が変わってきて、融資や運用だけでは大きな利益は見込めなくなってきました。
そこで登場するのが1998年から銀行も窓口でも販売が始まった投資信託や保険商品といった手数料が稼げるリスク商品の販売です。
投信や保険商品では販売したときに、運用会社(投信会社)や保険会社からまとめて手数料が入ります。手数料率は商品によって異なりますが2~5%が多いようです。たとえば購入時手数料3%+消費税の投信を1000万円販売すると、銀行は30万円の手数料を受け取ることができます。
運用の責任は運用会社や保険会社にありますから、銀行は販売後の商品についてのリスクを負う必要がなく、ビジネスとしてはかなり旨味があるのです。
これが、銀行が投資信託や保険商品の販売に力を入れている理由です。
ファイナンシャルプランナー(CFP)、(株)生活設計塾クルー取締役。1967年生まれ。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特 定の金融機関に属さない独立系FP会社である生活設計塾クルーのメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じて「買い 手寄り」のマネー情報を発信している。15年間で受けた相談は3000件以上。「すぐに実行できるアドバイスを心がける」のをモットーとしている。日本経済新聞、日経WOMAN、日経ビジネスAssocie等でマネーコラムを連載中。
おもな著書に、『30代で知っておきたい「お金」の習慣』、
『住宅ローンはこうして借りなさい・改訂3版』、
『住宅ローンにだまされるな!住宅ローン見直し編』、
『災害時 絶対に知っておきたい「お金」と「保険」の知識(共著)』、
『生命保険はこうして選びなさい・新版(共著)」(いずれもダイヤモンド社)、『女子必読!幸せになるお金のバイブル』(日本経済新聞出版社)、『年金以前の「定年後のお金」の常識』(講談社)などがある。
所属先:(株)生活設計塾クルー http://www.fp-clue.com/
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