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スマートフォンの理想と現実

つながらない、邪魔する、つながせない、あぶない…スマホ普及とオフロード需要爆発で露見する「Wi-Fiの罠」

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第13回】 2011年12月14日
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 このモバイルWi-Fiルータが厄介なのは、当然ながらその所有者の赴くがままに、あちこち動き回ってしまうということだ。従って街中でも結構な数のWi-Fi電波が飛び交っており、スマートフォンのWi-FiモードがONにでもなっていようものなら、すれ違った人の電波によって、それまで維持されていたインターネット接続が乱れたりもする。

 Wi-Fiモードを細かく管理すればいいという見方もある。しかし人間そう完璧にはいかないものだ。特にWi-Fiでスマートフォンを利用する快適さは、そのためにコーヒーを飲みに行くことさえあるほどだろう。こうした多様な接続環境をユーザ自身がすべて自分で完璧に管理するというのは、夏休みの宿題を毎日コツコツ続ける難しさに匹敵するはずだ。

 ではモバイルWi-Fiルータが悪なのかと言えば、さにあらず。回線の効率的な利用という意味では社会全体の利益にも資するし、なによりこれはこれで、一度使い始めたらなかなか手放せない。契約数の増加という観点から、通信事業者としてもこのビジネスを自ら制限することはできないだろう。

つながせないWi-Fi

 Wi-Fiの課題は技術面だけではない。設置やサービス提供が容易であるだけに、その運用面や法制度面でも課題が顕在化しつつある。

 先日、セブンイレブンがスタートさせた公衆無線LANサービス「セブンスポット」で、ちょっとした騒動が起きた。情報セキュリティの専門家である高木浩光氏などの調査により、アマゾンや楽天などのネット通販大手のサイトへのアクセスが制限されていることが、明らかになったのである。

 高木氏が問題を指摘した直後、同サービスは制限を解除したようで、現在はセブンスポットからアマゾンや楽天などへのアクセスは問題なくできるようである。またセブンイレブン側から本件に関して説明等は特に行われていない。従って以下はすべて私自身の推測という前提でお読みいただきたい。

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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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