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高橋洋一の俗論を撃つ!

消費税の税源移譲なくして地方分権なし
その社会保障目的税化は地方分権の大障害

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第28回】 2011年12月15日
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 大阪市の橋下徹次期市長は12日、次期衆院選について問われ、「消費税総選挙とか言われているが、こんなのは対症療法。国のかたちを問う道州制選挙になる」、と述べたとの報道があった。

 橋下氏の話を、消費税ではなく道州制が選挙の争点になる、と単純に思った人は多いのではないだろうか。ところが、それは違う。今、野田政権が進めている「消費税の社会保障目的税化」は、道州制に反するということだ。

 分権国家を目指すとして、その鍵を握るのは、地方行政費用をどのようにまかなうかということである。民主主義の根本原理として「課税なくして代表なし」がある。これは税が政府のあり方で基本になっていることを示している。米国の政治学者・レイプハルトの研究でも、国全体の税収のうち、地方がどの程度を占めているかが決定的に重要である。

 ここで、問題になるのは、地方交付税や一括交付金のような資金使途にしばりのない中央から地方への配分金である。ニア・イズ・ベターが本格的に機能するためには、税率決定などの課税自主権をもつ税財源でなければいけない。このため、地方交付税や一括交付金は地方分権をみるときには、地方財政収入から除くべきである。

地方分権は中央省庁の
再々編と裏腹の関係

 そこで、国と地方がどのように行政を分担して、それに応じて必要な地方税源がどの程度必要なのかを考えよう。役割分担では、海外では「補完性原則」がある。平たくいえば、基礎的自治体(市)でやれることは基礎的自治体(市)ですべてやり、そこで拾えないものをその上の政府が行うという考え方だ。

 この補完性原則を人口規模1.2億人の日本に適用すると、基礎的自治体(市)-州-国という3層構造の道州制が自ずと出てくる。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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