1973年に京都市内の自宅で創業した会社が、いまや世界一のモーターメーカーになった――。日本電産の勢いが止まらない。2014年度に1兆円を突破した売上高は、20年度の2兆円達成の確度を上げている。最大の目標は、30年度の「10兆円企業」の実現。それに向けても、永守重信会長兼社長は強気の構えを崩さない。その原動力は何か。今後の一段の成長のチャンスをどうみるか。週刊ダイヤモンド 2017年12/30・18年1/6新年合併特大号「総予測」特集のなかで、永守会長が全てを語った。全容を3部構成でお届けする。
――日本電産の成長は、積極的なM&A(合併・買収)がけん引してきましたが、創業以来の買収件数は57件に上ります。
今まで買収してきた会社が、伸びる市場に非常にマッチしてきましたね。どれも図星で当たっていて、「これは必要なかった」という会社は1社もないです。それは最近の売り上げの伸びで証明されています。
効果が見えるまでにやや時間が掛かったところもあるので、どれも買収した当時には「なんでこんな会社を買うの?」とずいぶん言われたもんですよ。
例えば、日本電産コパルはカメラのシャッターの会社。デジタルカメラの市場が小さくなり始めたときには、「一体どうする?」のと言われましたが、その技術はクルマ用のカメラに使われ始めて、新しい成長を迎えています。
それから日本電産シンポは減速機の会社。これも「モーターは、サーボ技術で回転を制御するようになるので、いずれ減速機の市場はなくなる」などと言われたものですが、ここへきてロボットに使われる減速機は、モノが足りないくらいで、お客の注文が殺到している状態ですよ。