筆者が不思議に思うことは、為替ディーラーといわれる人たちの為替相場に対する解説である。

 例えば、昨年3月の震災直後、円安になるといっていた人が、円高になったのがわかると、レパトリエーション(Repatriation)だと言い始めた。レパトリエーションは為替市場ではしばしば使われる用語で、海外に投資している日本の資産が国内に還流することを指す言葉だ。そのために円高になったのだという。

為替レートを決める要因

 為替市場は需給関係で決まるのというのは一般論として正しい。しかし、後付けで、こうした需給を決める一つの要因だけで説明するのはどうかな、と思う。その場限りの説明でしかない。もっとも、マスコミで出てくるコメントはこの類の「滑った、転んだ」という話ばかりなので、辟易している。

 日々切った、張ったを行っているの為替ディーラーではなく、もう少し分析的な仕事をしている金融関係者から聞くと、為替レートを決めるのは長期的には購買力平価(両国間の物価水準の比率)と中期的には両国間の金利差であるという。

 たしかに、為替レートを購買力平価と金利で回帰分析すると、多少はフィットする。ただし、少し経済学をかじっていると、貨幣市場の均衡式から物価水準の比率と金利差には一定の関係があることがわかる。そこで、理論的には、物価水準の比率と金利差のいずれか一つは余計なモノとなる。そこで、それなら、両国のマネー量の相対比をとるというのは自然ななりゆきだ。国際金融を勉強した人なら、マネタリーアプローチがあり、それを簡略的に表現すると、両国のマネー量の相対比でもいいことがわかる。