本連載では、話題の新刊『最先端科学×マインドフルネスで実現する 最強のメンタル』の内容から、エビデンスに基づいた最新科学の知見をもとに、現代人が抱える2大メンタル問題「ストレス」と「プレッシャー」を克服し、常に安定して高いパフォーマンスを発揮するための方法をお伝えしていく。

人にはそれぞれ脳のタイプがある

 これまでの連載でお伝えしましたように「最強のメンタル」とは、リラックスと集中のバランスが保たれた中覚醒状態のことであり、それが極まった状態がゾーンです。

 ですので、理論的にゾーン状態を引き出すには、脳を中覚醒状態に調整すれば良いことになります。

 そのためには、「(1)分析」「(2)強化」「(3)適応」という3つのステップを踏んでいく必要があります。

 ここで、まず重要になってくるのが、中覚醒状態をつくり出す方法は人によって異なるということです。プレゼン前や試合前の自己コントロールというと、深呼吸でリラックスという光景がすぐに思い浮かぶと思います。

 しかし、普段ボーッとしているタイプの人間が、「ここ一番」で深呼吸でリラックスして果たして高いパフォーマンスを発揮することができるでしょうか?

 注意散漫になり、ケアレスミスの連発が予想されます。逆に、ピリピリしたタイプの人間には、深呼吸で脳の興奮を下げることは効果的といえるでしょう。

 つまり、眠気を帯びた低覚醒タイプは集中力を高め覚醒を高めることで中覚醒に、反対に脳が過活動な高覚醒タイプは、リラクセーションを促し覚醒を下げることで中覚醒に移行可能なのです。

 そこでまず問われるのが、自分の脳の覚醒タイプの「(1)分析」なのです。

 これは、ストレスプロファイルと呼ばれるメンタル分析法で、海外のアスリートやエグゼクティブを中心に取り組まれています。これは、陸上選手であれば、自分が短距離型の遺伝子を持っているのか、長距離型の遺伝子を持っているのかをチェックするようなものです。

 当然、これら異なる遺伝子の持ち主が、同じようにスピードトレーニングやスタミナトレーニングを行っても、同様の効果が得られないのは誰もが理解できることだと思います。

 それは、メンタルに関しても同じなのです。

「最強のメンタル」へのアプローチ法

 ストレスプロファイルにより、自分の脳タイプが判別すれば、いよいよ自分に合った方法「(2)強化」で中覚醒状態をつくり出していきます。

 そのアプローチ法には3種類あります。

 まずベースとなるのが、目の前の仕事やプレーに没頭するための脳づくり、すなわちマインドフルネスです。

 プレゼンのコンペに勝てるか…?
 PKでゴールできるか…?

 こうしたまだ見ぬ結果にばかり意識が向かっていては、恐る恐るプレゼンやプレーをすることになり、当然良い結果は得られません。

 競技スポーツの現場では、コーチがよく「プレーに集中していけ!」とアドバイスを送っているのを耳にしますが、実際は普段から目の前のプレーに集中するトレーニングを積み、それに関連する脳の特定部位を鍛えておく必要があるのです。

 次に必要なのが、自律神経バランスの調整です。

 仕事や試合中は、休日や寝る前のような副交感神経優位なリラックス状態では、緊急を要する様々な事態に対応できません。逆に、ガチガチな交感神経優位な緊張状態でも、これまたいつもの力は発揮できません。

 「ここ一番」で望まれるのは、ほどよい緊張状態なのです。自律神経の観点から言及すれば、それは交感神経と副交感神経のバランスがとれた状態です。

 現在は科学技術の発達により、自律神経の状態も「見える化」できる時代となりました。それはつまり、自分の自律神経の状態を「見える化」しながら、交感神経を高めたり、副交感神経を高めたりすることが可能ということです。すごい時代となりました。

 最後は自宅ではできませんが、脳波を使った最新鋭のトレーニングであるニューロフィードバックです。

 ニューロフィードバックは、さきほどの自律神経バランスを整える方法が末梢系アプローチと呼ばれるのに対して、脳を直接コントロールすることから中枢系アプローチと呼ばれています。

 具体的には、専用の脳波計で脳波の状態を「見える化」しながら雑念に関連するシータ波(4~7Hz)や緊張に関連するハイベータ波(23~36Hz)を抑制し、リラックスと集中に関連するSMR波(12~15Hz)を強化することで、中覚醒状態をつくり出します。

 トレーニングプログラムは、ストレスプロファイルの結果に基づいて組まれていきます。これらマインドフルネス、自律神経最適化トレーニング、脳波最適化トレーニングを組み合わせることで、中覚醒状態のゾーンを科学的に導き出します。