2011年は東日本大震災、円高、ユーロ危機、タイの大洪水と、日本にとっては内外ともに災厄多き年だった。12年はそれ以上に不確実性、不安定性が高まる年となりそうだ、何しろ世界は政治の季節に突入する。1月の台湾総統選に始まり、露、仏、米、韓では大統領選、中国でも政権交代が行われる。北朝鮮情勢も不安材料だ。そうした状況下、12年を予想する上で、何がポイントになるのか。経営者、識者の方々に、アンケートをお願いし、5つののポイントを挙げてもらった。第13回は、嘉悦大学教授・高橋洋一氏。

国内は4月以降に野田首相退陣、総選挙<br />ギリシャは完全破綻しユーロ崩壊<br />――嘉悦大学教授 高橋洋一氏たかはし・よういち/1955年、東京都生まれ。東大理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、総務大臣補佐官、内閣参事官などを歴任したあと、08年退官。09年政策工房を設立し会長。10年嘉悦大学教授。
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①4月以降に野田総理退陣、
解散総選挙になる

 消費税増税法案の国会審議が行き詰まる。増税法案の拙速さが国会で浮き彫りになり、野田政権の閣僚は国会審議で持たなくなる。野党は問責決議を出し、不信任案のかまえとなる。野田政権は総選挙で国民の信を問わざるを得なくなり、退陣する。しかも追い込まれ解散になる。

 その際、民主党は分裂する。消費税反対を主張する議員の離党が相次ぐ。野党自民党も消費税増税か否かで、総裁選が前倒しになって分裂する。総選挙になるが、どの党も過半数をとれずに、連立工作が活発化し、政界再編が起こる。