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東日本大震災から1年
誰が復興を殺すのか

週刊ダイヤモンド編集部
【12/3/10号】 2012年3月5日
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 2012年2月下旬のある朝。宮城県気仙沼市では、ランドセルを背負った子どもたちが笑顔を見せながら手をつないで歩いていた。車やバスがせわしなく行き来し、カーラジオからは「今日も1日がんばりましょう」との声。なんてことはない田舎街の日常光景だ。

 しかし、ほんの一歩、海沿いに出ると景色はがらりと変わる。鉄骨がむき出しの商店に折れ曲がった標識、歪んだ土地――。その様子はあの日のままだ。

 2011年3月11日午後2時46分。観測史上最大のマグニチュード9.0の大地震に、10メートルを超える津波が日本列島を襲った。死者・行方不明者はじつに2万人にも及び、大量の放射性物質を巻き散らす最悪の原子力事故を招いた。

 あの日からまもなく1年を迎える。だが、いまだその復興が遅々として進まず、被災者や国民の求めた復興の姿はいまだ見えてこない。それに応える統率者は、市町村や県、ひいては国のどこにも見当たらない。誰が復興を殺すのか――。震災後の今を追った。

“死に金”と化す予算
変わらぬハコモノ乱造の愚

 宮城県石巻市。北上川河口に浮かぶ小さな島に、白い鉄板で作られた宇宙船のようなドーム施設が鎮座している。石巻に縁の深かった仮面ライダー作者の漫画家・石ノ森章太郎氏にちなんだ博物館、「石ノ森萬画館」だ。

 「復興交付金を使って、萬画館をリニューアルしたい」

 2月中旬、石巻市を訪れた平野達男復興大臣に対し、亀山紘市長から出てきたこの要望に、周囲の関係者は凍りついたという。

 復興交付金とは、2011年度第3次補正予算において国が新たに創設した制度のこと。危険区域からの集団移転など、各自治体が独自の「復興プラン」を国に提示し、その計画申請を審査して国が資金を支給する。

 じつはこの萬画館には、文部科学省が教育施設復旧費として、すでに元通りに直すための予算約6億円も手当て済み。つまり今回の市の申請は、所得税や法人税の増税という“痛み”を国民に強いて捻り出す予算を使って、さらに施設をグレードアップしたいということなのだ。

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