この春、部署異動などで上司が変わった方もいらっしゃることでしょう。できることならば、早期に円満な関係を築きたいところ。シリーズ累計127万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんが、上司とうまくコミュニケーションをとるための「伝え方」を教えてくれました。(構成・伊藤理子)

【春の伝え方特集!】上司が思わず「YES」と言ってしまう伝え方とは?

上司から「イエス」をもらいたい

仕事において「上司とのコミュニケーションがうまくいかない」という悩みを持っている人は多いようです。

こんな話があります。
新入社員の加藤くんは有名私大の出身。「入社したら、きっとすぐに力を発揮できるはずだ」と思いこんでいました。
一方、上司である田中さんは、社内でも一目置かれる「デキる人」。そんな田中さんからごく簡単な事務作業を振られたけれど、加藤くんにはどうしてもやり方がわかりません。

忙しい田中さんに初歩的な質問をするのは気が引けたのですが、勇気を出して

「やり方を教えていただけませんか?」

とお願いしてみました。すると、「じゃあ、他の人に頼むからいいよ」とそっけない返事。急ぎの作業だったので、少しでも早い人に振りたかったのかもしれませんが、もしかしたら「イマドキの新人はこんな簡単なこともできないのか。使えないやつ」と認定されてしまった恐れも…。

この場合は、次のような伝え方をしてみましょう。

○「早く田中さんのお役に立てるようになりたいんです。やり方を教えていただけませんか?」

ただ「教えていただけませんか」というよりも、相手は「教えてもいいかな」という気持ちになりそうですよね。

これは、伝え方の技術「相手の好きなこと」を活用したもの。相手が好きなことや喜ぶことを、お願いの中に組み入れる方法です。「部下が役に立つようになる」というのは、上司から見れば喜ばしいこと。だから、お願いを聞いてもらいやすいのです。

受ける印象も違いますよね。「教えてください」とストレートに言った場合は、「仕事ができないやつ」とネガティブな印象を持たれてしまう危険があるのに対して、後者は「一生懸命でかわいい部下」という印象を与えそうです。

伝えたいことは同じであっても、伝え方を変えるだけで上司から「イエス」を引き出しやすくなるだけでなく、自分の印象まで良くすることができるのです。