筆者はコマツでエンジニアを6年、スタンフォード大学大学院への留学をへて、マッキンゼーで14年間、企業の経営改革を支援してきました。2002年には独立し、以来、ベンチャーへの支援と大企業の意識・行動改革に携わっています。業種としては、大手製造業や全国チェーンの小売り業、流通業などです。

 その中で組織に関しては、上司と部下がいかにスムーズに連携し大きな成果を出すことができるか、どうすれば不要なストレスなく意思疎通を図ることができるようになるのか、数百以上のケースで上司と部下の関係を改善すべく、助言してきました。また、上司のリーダーシップ強化にも深く関わってきました。

 職場の問題の多くは、規模の大小によらず、上司と部下のコミュニケーションの悪さにあると感じています。上司がコミュニケーションスキルに長けていればそういう問題はあまり起きませんが、残念ながら部下が努力するしかない場合が多く見られます。

「デキる部下」になるには、上司と上手くコミュニケーションを取り、操縦することが必要なようです。経験から、上司と部下の意思疎通の悪さには、ありがちな6つのパターンが見られます。この連載では、そのパターンごとに上手く上司を操縦するための方法をお伝えしていきたいと思います。

上司に自分の考えを伝えることの難しさ

 あなたは、上司に自分の考えを伝えて、不機嫌になられたことはないでしょうか。

「自分でちゃんと考えて意見を言え」と普段言うくせに、いざ伝えようとするとなぜか不機嫌になる。お前は俺に意見するのか?というような顔になる。そういう経験はないでしょうか。