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金融市場異論百出

商業銀行の利ザヤは3%超え
中国で高まる“儲け過ぎ”批判

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2012年4月4日
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 現在上海に出張しているが、銀行の「儲け過ぎ」に対する批判があちこちで見受けられる。「理財週報」3月12日号は、「大銀行家の金数え」という特集記事を掲載した。「チャイナ・ビジネス・フォーカス」誌4月号のカバーストーリーは、「急増する銀行利益」である。

 同誌によると、2011年の収益前年比は、深◎(土偏に川、シンセン)発展銀行が60~70%増、中国民生銀行は50%増以上、上海浦東発展銀行は42%増、南京銀行は39%増の見通しだという。高収益の結果、ある銀行では昨年半ばに行員全員に、1人10万元(125万円)のボーナスが支給された。年末にも追加ボーナスが出たそうだ。

 そういった話に庶民はいら立っている。インフレ率は最近ようやく1年物預金金利並みの水準に下がったが、昨年は預金金利がインフレ率を大幅に下回る「実質マイナス金利」状態だったからである。

 中国の銀行の利益が巨大になった最大の理由は、預金金利と貸出金利のスプレッドが当局の規制によって確保されている中で、資産規模が拡大してきたことにある。

 例えば、1年物定期預金金利は3.5%だが、1年物貸出金利は6.56%だ。単純に計算すれば、利ザヤは3.06%もある。株式制商業銀行の利益の90%は、そういった金利差から生まれている。日本の銀行から見れば信じられないほどの分厚い利ザヤである。

 先行きの方向性としては、中国の金融当局は、預金金利よりも貸出金利の下げ幅を大きくする形で銀行の利ザヤを緩やかに縮め、一方でSHIBOR(シャイボー。上海銀行間取引金利)を中心とする市場金利に依拠した金利システムへのシフトを徐々に進めていくだろう。だが、そのスピードはゆっくりとしたものになりそうだ。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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