こだわり蕎麦屋めぐり
【第22回】 2012年5月8日 鎌 富志治 [夢ハコンサルティング代表]

代田橋「まるやま」――他店の蕎麦職人も食べに来る店。キレのいい粗挽き蕎麦が出色

他店の蕎麦職人も食べに来る本当に美味い店。切れ味のいい粗挽きせいろと逸品の肴を囲みながら亭主の人柄に触れる。町蕎麦の和やかな風情と手打ち蕎麦屋の凛とした空気感が一体となった雰囲気は、居心地がよくつい昼間からでも飲みたくなってしまう。

町蕎麦の人情と手打ちの凛とした空気感
一人客、仲間連れ、カップルで賑わう

 代田橋駅の北口から甲州街道に向かってゆっくり歩く。歩道橋で向かい側に渡ると、目当ての「まるやま」の看板がすぐに見える。駅からはほんの数分の距離だ。

代田橋からほんの数分の距離にある「まるやま」。かつては「長寿庵」の看板を出して、馴染み客を寄せた。今は切れ味のよい手打ち蕎麦と、蕎麦屋酒で賑わう店になった。

 元は「長寿庵」の屋号で商いをしていたが、今ではすっかり手打ち蕎麦屋の造作の門構えに変わっている。

 店内に入ると、御簾で仕切られたテーブル席が並ぶ。昼から蕎麦屋酒がやれる雰囲気が、蕎麦前好きには堪らない。入り口の大きなテーブルはカウンター席のような使い方になっていて、1人でも気軽に訪問できるのがまた嬉しい。

 客は熟年カップルも若いカップルも多いという。近所の馴染み客もいる。平日が休みの蕎麦屋の亭主たちや蕎麦職人も「まるやま」には行きやすいという。それは「まるやま」の蕎麦に魅力も感じてのこともあるが、それ以上に、同業者ながら、亭主の人柄を好んでいるのかもしれない。厨房から一見客にも気軽に声を掛けるし、屈託のない楽しい人なのである。

(写真左)店内左側の6人席は、カウンター使いで1人客、2人客を迎える。テーブル席は御簾で仕切ってあり、会食や接待の席にも居心地がいい。昼から蕎麦屋酒をやりたくなるようないい雰囲気があって、ついついお品書きに並ぶ肴に目が行ってしまう。

 店は町蕎麦だった頃の和やかな風情と、手打ち蕎麦屋の凛とした空気感が渾然一体となっている。それがこの店独特の雰囲気を作っていて、手打ち蕎麦屋の敷居の高さを取り払っている。そんな雰囲気を作ってきたのは「まるやま」の店の生い立ちにある。

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鎌 富志治 [夢ハコンサルティング代表]

大手広告代理店で営業局長やプロモーション局長を歴任後、東京・神田須田町で手打ち蕎麦屋「夢八」を開店する(現在は閉店)。現在は企業経営コンサルタント、蕎麦コンサルタントとして活躍中。著書に『こだわり蕎麦屋の始め方』(ダイヤモンド社)がある。
◎ブログ:蕎麦の散歩道


こだわり蕎麦屋めぐり

酒と料理と極上の蕎麦。思わず誰かを連れて行きたくなる、五つ星のもてなしが楽しめる手打ち蕎麦屋。蕎麦が美味いのは当たり前、さらにはそこでしか味わえない料理ともてなしがある店ばかりを厳選。付き合いや接待に良し、大事な人と大事な日に行くも良し。店主がこだわり抜いた極上店の魅力とその楽しみ方を紹介する。

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