トキオ・ミレニアム・リー英領バミューダ諸島に拠点がある再保険のトキオ・ミレニアム・リー(TMR)。来年3月末の売却完了を目指す

 東京海上ホールディングスが、再保険事業の中核となる子会社、トキオ・ミレニアム・リー(TMR)を売却することを決めた。

 TMRといえば、毎年100億円規模の純利益を安定的に計上してきた“孝行息子”で、18年前の設立時には現会長の隅修三氏が携わるなど、東京海上にとっては特に思い入れが深い会社だ。

 にもかかわらず、一体なぜ本体から切り離すという決断に至ったのか。きっかけの一つが、昨夏に米国で発生したハリケーンだ。

 3度にわたって米国を襲来し、十数年に一度という甚大な規模の被害を及ぼしたことで、損害保険各社からリスクの一部を引き受けていた再保険会社は収益が急速に悪化。スイス・リーや独ミュンヘンなど大手の自己資本利益率(ROE)は、それまで10%台で推移(業界推計)していたものの、2017年は一気に2%台にまで悪化してしまったのだ。

 TMRも保険金の支払いが膨らんだことで、17年は170億円超の最終赤字に沈んでいる。

 ただ数年に一度のサイクルで、大規模な自然災害によって利益が大きく悪化するのは、各社にとっては分かり切ったことだ。