「なぜ、あの人はすぐに正解を導けるのか?」「なぜ、あの人は失敗をしないのか?」「なぜ、あの人はやりたいことを実現しているのか?」――とびぬけて頭のいい人は、「迷いのない判断基準」と「瞬時に対応する問題解決能力」を持っています。その2つの能力を普通の人でも使えるスキルとしてまとめた、新刊MENSA、ISI、HELLIQに所属する天才のパターン思考 2時間で知能が高まる「思考の技術」から、天才の思考法を紹介していきます。

細かいニュアンスを大事にする

 物事には、やり直しが「利くもの」と「利かないもの」があります。

 やり直しが利かないものについては細心の注意を払うのはもちろんですが、やり直しが利くものでは、手を抜くケースが結構あるように見受けられます。適当に終わらせると、あとで修正しなくてはならず、効率が悪くなります。複数の人が関わっている場合、誰かほかの人が尻拭いをすることになるかもしれません。

 私は、自分が何かをやるときは、1回の行動で細かいところまでカバーするようにしています。たとえば、カルテを作成するときは、あとでほかの人が見てもいいように論点を絞ってわかりやすく書き、誤字脱字もないようにチェックして仕上げます。このようにしておくと、自分のバックアップに入る人たちから信頼されるようになります。

「細かい人」と言われて敬遠される可能性もゼロではありませんが、1回の作業で成果を見せてしまえば、結局は信頼されます。

細部へのこだわりが大きな違いを生む

 かつてのボスであるスティーブ・ジョブズ氏について、元Appleのマーケティング担当副社長・前刀禎明氏は、著書『アップルは終わったのか?』(ゴマブックス)の中でこんなエピソードを紹介しています。

「初代iPodを開発している際に『これ以上サイズを小さくするのは無理だ』という人間の前で、水槽にiPodを放り込んで、空気の泡が出たのを見て『この空気の分だけ小さくしろ』と指示した」

 結局、iPodシリーズの販売台数は、5年半で1億台を突破し、ミュージックプレーヤとして最速のペースで販売実績をあげる大ヒットとなりました。

 これも、細部にまでこだわった成果の一つといえるのかもしれません。

 所詮は同じ人間がやることだと考えると、できる範囲はだいたい決まっています。だからこそ、微妙な差が大きな違いを生みます。

 ましてや、同じ分野・領域で競うとしたら、なおさら細かい部分がものを言います。細かいニュアンスにこだわればこだわるほど、周囲と差をつけることができます。

まとめ

凡人→自分のこだわるところを除いて大ざっぱである
天才→全体から細部まであらゆるところが気になる
メリット→専門分野で評価されやすくなる