6月13日、衆議院社会保障と税の一体改革特別委員会の公聴会で、公述人として意見をいう機会があった。以下は陳述内容だ。

 消費税増税には反対である。これほど反対理由をつけやすいものはない。まず、経済対策として、①デフレの解消が先、②財政再建の必要性が乏しいこと、③欧州危機時にやることでないこと、第2に税理論として ④不公平の是正が先、⑤歳入庁の創設が先、⑥消費税の社会保障目的税化の誤り、⑦消費税は地方税とすべきこと、第3に政治姿勢として、⑧無駄の削減・行革が先、⑨資産売却・埋蔵金が先、⑩マニフェスト違反がある。

デフレ解消が先

 ①について、現在のようなデフレでは財政再建はうまくいかない。1960年代からのOECD加盟国の中で、財政再建に成功した事例と失敗した事例を調べると、名目成長率が高くなったほうが成功している。

 小泉政権のときにも、経済成長によってプライマリー収支(基礎的財政収支)は大幅に改善した。図表1はこれまで日本のデフレがマネー不足でおきていることを示している。図表2は、左軸に翌年の基礎的財政収支の実額を、右軸に当年の名目GDP成長率をそれぞれとって、関係を示したものだが、名目成長率は翌年の基礎的財政収支と強い相関があることがわかる。