米銀大手の4-6月期決算、消費者が分けた明暗Photo:Reuters

 米消費者は低金利を利用して借り入れや支出を増やしている。一般顧客向け業務を手掛ける銀行には追い風となる一方、そうでない銀行は置き去りにされている。

 米銀大手JPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴ、シティグループが発表した4-6月期(第2四半期)決算は、好調な消費者事業が利益を押し上げたものの、取引手数料は減少した。大規模な消費者事業を持たないゴールドマン・サックス・グループは唯一、減益決算となった。

 今回の四半期決算からは、米国の消費者が企業や機関投資家より景気を楽観視していることがうかがえる。低水準にある失業率、賃金上昇、連邦準備制度理事会(FRB)による金利据え置きは、消費者がクレジットカードでの買い物を増やしたり、新たな住宅ローンを組んだりするのを後押しした。

 だが、世界経済減速の兆候や対中貿易摩擦の激化、FRBによる年内利下げ観測を背景に、各行のトレーディング・法人顧客は神経質になっている。

 JPモルガンのジェームズ・ダイモン最高経営責任者(CEO)は16日朝、アナリストとの電話会議で「米国の消費者は良好だ」としつつ、「企業心理はやや悪化している」と述べた。

 銀行のクレジットカード顧客による4-6月期の利用額と借り入れはいずれも拡大した。資産規模で米銀最大手のJPモルガンではカード取扱高が11%増の1925億ドル、利用残高は8%増の1576億ドルとなった。こうした伸びの大半を支えたのは既存顧客で、新規顧客ではない。