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金融市場異論百出

日米が追加緩和に慎重姿勢
BISが警告する四つの弊害

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2012年7月25日
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 7月12日の金融政策決定会合で、日銀は資金供給オペの札割れ対策は発表したものの、追加緩和策には踏み込まなかった。バーナンキFRB議長は7月17日の米議会証言で、労働市場の停滞やデフレリスクが顕在化した場合の四つの追加緩和策を提示したものの、今はその導入に慎重な態度を示した。

 株式市場や外為市場は日米の中央銀行のそういった態度に失望を表した。しかし、彼らが追加策に躊躇しているのには理由がある。異例の金融緩和策には副作用というコストがつきまとうからだ。

 先日発表されたBIS(国際決済銀行)の年次報告書は、まさに同様の問題に多くのページを割き、異例の緩和政策のリスクに強い口調で“警告”を発していた。そのリスクは次のように整理できる。

 第1に、長期化する異例の金融緩和状態は、「問題を隠蔽し、それらを解決しようとする動機を殺いでしまう」。超低金利環境は、銀行が不良債権を抱え続けることの機会費用を小さくする。それ故、米国では銀行が不良債権の引き当てに積極的になれず、それらを抱えているために、家計向けの新規の貸し出しは減少しているとBISは指摘している。中央銀行が国債を大量に購入して国債の発行金利を低下させると、政府債務に対する議会の危機意識が高まらないという問題もある。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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