4月13日、厚生労働省の社会・援護局から1通の通知が出された。

 タイトルは「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取り扱いについて」で、生活保護受給者にジェネリック医薬品の使用を促すための具体的な取り組みが記載されている。

 生活保護受給者にジェネリック医薬品の使用を促す通知が出されるのは、これが初めてではない。同様の通知が2008年4月にも出されており、当初は「生活保護受給者が後発医薬品への変更指示に従わなかった場合は、保護の停止または廃止を検討する」と、半ばジェネリック医薬品の使用を強制する内容だった。

 だが、人権を無視した内容に各方面から強い批判の声が上がり、舛添要一厚労相(当時)が慌てて撤回した過去がある。

 今回の通知は、こうした経緯もあってか、生活保護受給者に向けて「理解を求めた上で、後発医薬品を一旦服用することを促し、服用終了時に再度、服用を踏まえた本人の意向を確認し、更なる使用促進を図る」など、選択権を損なわない内容にはなっている。

 だが、生活保護受給者のジェネリック医薬品の使用促進について、繰り返し通知が出されるのはなぜなのだろうか。

一般の人に比べて生活保護受給者の
ジェネリック使用率は低いのは事実だが

 2009年度の日本の総医療費は36兆円。そのうち薬剤費は約8兆円で、全体の22%を占めている。繰り返された薬価の引下げで、一頃よりも減ってきたとはいえ、薬剤費が国民医療費の5分の1を占める状況は相変わらずだ。

 こうした状況を改善し、医療費を削減するために、2007年10月に策定されたのが「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」だ。2012年度までに先発医薬品より価格の安いジェネリック医薬品のシェアを数量ベースで30%まで増やして、薬剤費を削減するというもの。