事業ポートフォリオの拡大とともに、社員数が急増
赤堀 鈴木さんは2015年にプロサッカー選手を引退され、同年10月に会社を創業されたそうですね。腸内細菌の研究を行うスタートアップだそうですが、どのようなきっかけで創業に至ったのですか?
鈴木 子どもの頃から、調理師資格を持つ母親に「腸に優しい食事」を与えられて育ったのが、腸内細菌に興味を持ったそもそものきっかけです。
おかげで健康に育ち、小学校から高校まで一生懸命サッカーに励んだ結果で、00年に浦和レッズに加入。06年にJ1で優勝し、同じ年にサッカー日本代表にも選出されました。レッズの一員として16年間プレーし、ホームでの退団セレモニーで6万人ものファンから大歓声を受けたことは、今でも忘れられません。
熱い気持ちで応援してくれたファンの方々に恩返しするため、今後は自分が皆さんを幸せにしたい。そのためには、何ができるだろう? と考え、昔から興味があった腸内細菌の研究を事業化したのです。人間の幸せって、体が健康であることが大前提ですからね。
赤堀さんがコーポレート統括部長を務めておられる東京通信グループは、デジタルビジネス・コングロマリットということですが、具体的にどのような事業を展開しておられるのですか?
赤堀 われわれは、鈴木さんが引退された年と同じ15年に、無料ゲームアプリの会社として創業しました。最初はゲームだけだったのですが、17年にはベンチャーキャピタル事業や有望なスタートアップ企業への直接投資を開始。さらに21年には、ユーザーと占い師をオンラインでマッチングする「電話占い」、23年にはユーザーの恋愛の悩みを相談員がオンラインで受ける「恋愛相談」もスタートさせています。
創業から10年足らずですが、その間、事業ポートフォリオは大きく広がりました。
鈴木 社員数もかなり増えているそうですね。
赤堀 20年に東証マザーズ市場(現グロース市場)に上場しているのですが、上場前の社員数は50人ほどでした。それが事業ポートフォリオの拡大とともに、足元では150人前後まで増えています。23年からは、新卒採用も開始しました。
社員数が大幅に増えたのですが、それに合わせてようやく人材教育の仕組みや人事制度を整え始めているところです。ベンチャーならではのスピード感を持って事業を発展させなければならない半面、その勢いに振り落とされず、しっかり成長を支えてくれるような人材を採用し、育て上げたいと思っているのですが、なかなか難しいですね。
鈴木 われわれは、まだ社員数が11人ですが、事業の成長スピードに人材獲得が追い付かないことに悩んでいます。事業の特性上、研究職をいかに確保するかが大きな課題ですが、マーケティングをはじめとする他の職種でも人手が足りません。とにかく、いい人材を1人でも多く獲得したいというのが切実な思いです。